小規模農家を対象とした植林CDM事業の実施手法の確立

タイトル 小規模農家を対象とした植林CDM事業の実施手法の確立
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 松原英治
渡辺 守
白木秀太郎
発行年度 2013
要約 国連から炭素クレジット(CER)を取得したパラグアイの小規模農家向け植林クリーン開発メカニズム(CDM)事業の実施手法は、中南米での植林による炭素隔離事業に活用できる。
キーワード CDM、植林、アグロフォレストリー、炭素クレジット
背景・ねらい クリーン開発メカニズム(CDM)は、開発途上国で実施される温室効果ガス(GHG)排出削減事業で達成される排出削減量(吸収増加量)を炭素クレジット化し、先進国がこれを取得することで自国の排出削減目標量に追加できるシステムである。農村開発の一環として、パラグアイにおいて小規模農家を対象に植林を行い、植林地内の炭素蓄積量を増加させることで大気中のGHGを吸収するCDM事業を実証し、国連気候変動枠組み条約CDM理事会から炭素クレジット(CER)を取得するまでの手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. JIRCASが実施した植林CDM事業「パラグアイ国パラグアリ県低所得コミュニティ耕地・草地再植林事業」に対し、平成25年8月に国連CDM理事会から発行された6,819tCO2のCER(表1、図1)は、中南米初の小規模農家を対象とする植林のCERである。本事業では、小規模農家のニーズに基づき、アグロフォレストリー(林地と農地を組み合わせた生産体系)や林間放牧(林地と家畜の放牧を組み合わせた生産体系)を実施し(図2)、小規模農家の土地の有効利用を実現している。
  2. 小規模農家を対象とする植林事業は社会的意義が大きいが、劣化した土地への植林と低い技術力のため、干ばつや雑草の被害を受けやすく、生育不良の植林地が発生し、計画に対しCERを取得した面積が低下することを実証している(表2)。また小規模農家のふぞろいな林地に対応するため、一定樹木数のサンプル区画の設置による炭素蓄積量の定量化手法を確立している。
  3. JIRCASの小規模農家を対象とした植林事業の形成から実施までの手法は、マニュアル等(成果情報平成22年18号)として整備済みで、今回平成24~25年のモニタリング及びCER取得の手法をガイドラインに追加している。また、計画、モニタリング及び指定運営組織による審査結果に係る実務資料はUNFCCCのウエブサイトで公表している。
成果の活用面・留意点
  1. JIRCASの植林CDM手法は、受益者負担原則と自己責任による、他へ依存しない持続性の高い植林を実施するものである。本手法は、中南米における未組織の小規模農家を対象とする植林CDM、REDDプラス及びCDM以外の炭素市場向けの植林による炭素隔離事業に活用できる。
  2. 小規模農家を対象とする植林CDM事業の経済性確保のためには、財務分析により事業に必要なCER単価を求め、JIRCASの経費実績及び市場の実勢単価との比較から、CER取得の可能性を判断する必要がある。
  3. 受益者負担原則による持続性の高い経済的な植林事業を実施するためには、植林ニーズの高い地域を選定し、意識改革活動により住民の自助努力を促進することが重要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027128
カテゴリ くり 雑草 モニタリング

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