漁業データから独立したクロマグロ0歳魚の回遊情報の取得

タイトル 漁業データから独立したクロマグロ0歳魚の回遊情報の取得
担当機関 (独)水産総合研究センター 国際水産資源研究所
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 藤岡紘
福田漠生
大島和浩
竹内幸夫
発行年度 2013
要約 野外で自由遊泳する0歳魚の生息環境を把握するために小型魚への電子標識の装着手法の開発を行い、高知県沖から標識放流を実施した。その結果、夏季の0歳魚はごく沿岸域から漁場の外側となる黒潮までを生息域としており、主に水温躍層よりも浅い表層混合層内を遊泳していた。漁業データは時期や海域が限定的であるのに対して、本研究は漁期の間の情報や漁場とならない海域の情報収集を可能とした。
背景・ねらい 適切に資源管理を行う上で、若齢魚、特に0歳魚の加入動向を正確に把握することが重要である。現在、0歳魚の資源動向は、漁獲統計や曳縄定線モニタリング調査、操業情報をリアルタイムに得るGPS標本船調査により収集されている。

これまでに、大まかな加入豊度の早期把握に成功し、毎年の加入豊度は大きく変動する可能性が示されている。この変動を引き起こす理由として、実際に加入量が変動していることの他に、上記漁業や調査を行う時期や海域とのずれが生じて見かけ上の変動が起きている可能性が指摘されている。より正確な加入豊度を把握するためには、漁業データから独立した、魚の回遊生態に関する基礎的知見の収集が必要である。

南西諸島周辺で孵化したクロマグロは、産卵場から輸送されて、夏季に孵化後2-3ヶ月齢(FL20cm程度)の0歳魚が高知県沖や長崎県沖に出現する。これまで0歳魚の回遊生態は漁獲情報や標識放流情報を基に想定されてきたが、漁場とならない沖合などの分布を把握することは困難であった。また、魚から直接回遊情報を取得する方法として電子標識の標識放流が挙げられるが、対象となる0歳魚は魚体が小さいことに加えて脆弱であるため、これまで電子標識の装着は難しかった。本研究では、(1)小型の0歳魚への電子標識の装着技術を確立することと、(2)実際に野外を自由遊泳する0歳魚から移動経路や生息環境情報を取得すること、を試みた。
成果の内容・特徴 1.電子標識を迅速に装着するための手術台を開発し、あわせて水中での手術(装着するお腹部分だけ空中に出す)と丁寧な取り扱いによって、魚の取り上げから30秒程度で腹腔内に電子標識を挿入することができるようになった。その結果、術後の生残率が飛躍的に向上した。

2.再捕された電子標識による追跡で実際の魚の移動経路が推定可能となった。夏の間、0歳魚は高知県沖のごく沿岸域から漁場の外側である黒潮付近までを生息域としていることが示された。従って、魚の沖合方向への生息域は黒潮の離接岸状況によって変化することが予測されるため、加入量は見かけ上大きく変動する可能性がある。
成果の活用面・留意点 ・将来的には、データの蓄積を行って、漁期の間の移動経路や太平洋と日本海に出現した魚の交流やその割合などを解明し、加入豊度の正確な推定方法を検討する基礎的知見として貢献する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027099
カテゴリ GPS モニタリング 輸送

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