久住高原から阿蘇外輪山北西部における非アロフェン質の黒ボク土表層の分布マップ

タイトル 久住高原から阿蘇外輪山北西部における非アロフェン質の黒ボク土表層の分布マップ
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2012
研究担当者 久保寺秀夫
草場 敬
島 武男
猪部 巌
発行年度 2012
要約 久住高原周辺地域と阿蘇外輪山の北西部を中心として、強酸性が問題となる非アロフェン質の黒ボク土表層が約340km2にわたり分布する。土色とpH(H2O)から非アロフェン質を簡易判別できる。非アロフェン質の中和石灰量とそのばらつきはアロフェン質より大きい。
キーワード 非アロフェン質、黒ボク土、分布マップ、簡易判別、中和石灰量
背景・ねらい 黒ボク土は、非晶質鉱物を主要粘土鉱物とするアロフェン質黒ボク土と、結晶性粘土鉱物に富む非アロフェン質黒ボク土に大別される。アロフェン質黒ボク土は通常は弱酸性であり、強酸性化した場合でも作物に酸性障害は出にくい。これに対し非アロフェン質黒ボク土は強酸性でアルミニウムイオンによる生育障害が頻発し、リン酸保持もアロフェン質より大きい傾向にあり、土壌管理に注意を要する。非アロフェン質黒ボク土は冷涼多降水条件で生成されるため、これまで九州では広範囲に非アロフェン質黒ボク土が分布しているとは考えられておらず、非アロフェン質黒ボク土特有の強酸性やアルミニウム障害に対して十分な配慮がされていなかった。しかし久住高原の採草地で草地更新時に牧草の生育不良による裸地化が発生し、原因解明のため土壌調査を実施した結果、表層が非アロフェン質であった(2009年度成果情報)。阿蘇久住地域においてはpH(H2O)が4未満の草地も見られ、非アロフェン質黒ボク土が広範囲に分布している可能性がある。そこで久住高原から阿蘇外輪山北方の黒ボク土地帯で15cm深までの理化学性を分析し、非アロフェン質の黒ボク土表層の詳細な分布マップを作成する。また非アロフェン質とアロフェン質を簡易に判別する方法や、両者の中和石灰量の特徴を示す。
成果の内容・特徴
  1. 黒ボク土の非晶質成分の尺度であるAlp/Alo(酸性シュウ酸塩可溶アルミニウム中に占めるピロリン酸塩可溶アルミニウムの割合、0.5以上が非アロフェン質)を指標に非アロフェン質の黒ボク土表層の分布を見ると、まとまった分布地域は久住高原周辺(エリアA)と、阿蘇外輪山上の大観峰付近から西~北西方向の地域(エリアB)である(図1)。エリアAとBに挟まれた地域では非アロフェン質とアロフェン質が複雑に混在している。図1の彩色域内における非アロフェン質土層の分布面積は約340km2である。
  2. Alp/AloとpH(H2O)の間には明瞭な負の相関(R2=0.314***, n=133)がある(図2)。また土色とpH(H2O)から非アロフェン質を簡易判別できる。pH(H2O)が4.9未満かつ土色が黒色(1.7/1か2/1)なら非アロフェン質(Alp/Aloが0.5以上)である。pH(H2O)が5.6を越える場合は土色に関係なくアロフェン質である。pH(H2O)が4.9~5.6の範囲では両者が混じるが、黒色なら約7割が非アロフェン質、他の土色なら約7割がアロフェン質である。
  3. 非アロフェン質の中和石灰量はアロフェン質に比べて大きく、また試料間でのばらつきも大きい(図3)。図1や図2に照らして非アロフェン質の可能性が大きい圃場では、酸性矯正にあたり、中和曲線を実測するなどして適正な石灰施用を行う必要性が高いと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:図1の地域を管轄する農業指導普及と試験研究関係者。説明パンフレットの作成と説明会・セミナーの開催を予定している。また炭素蓄積など土壌資源特性評価や、土壌分類改訂を担当する行政部局、試験研究機関での活用も見込まれる。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:13,547ha(調査地域の阿蘇市(水田以外)、産山村、南小国町、竹田市の耕地面積)
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027033
カテゴリ 水田

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