冬作イタリアンライグラス草地はイノシシの冬期の餌場となるため、侵入防止対策が必要

タイトル 冬作イタリアンライグラス草地はイノシシの冬期の餌場となるため、侵入防止対策が必要
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2012
研究担当者 上田弘則
高橋佳孝
井上雅央
発行年度 2012
要約 冬期にイノシシが冬作イタリアンライグラス草地に頻繁に出没して、牧草を採食する被害が発生する。イタリアンライグラスの被害割合は6割以上である。そのため、冬作イタリアンライグラス草地では電気柵などによる侵入防止対策を行う必要がある。
キーワード イタリアンライグラス、イノシシ、寒地型牧草、採食被害、侵入防止対策
背景・ねらい イノシシによる牧草地での被害については、これまでのところ掘り起こしの被害の報告しかない。最近になり、掘り起こし被害の発生していない寒地型牧草地でもイノシシが目撃され、牧草の地上部の採食痕がみつかっていることから、イノシシが牧草の地上部を採食する被害が発生している可能性があるが、多くの現場ではこの被害に気付いていない。また、イノシシが牧草を餌として利用することで、牧草そのものの被害だけでなく、餌の少ない冬にイノシシを養うことで周辺農地での農作物被害を助長してしまう可能性がある。そこで、イノシシの冬作イタリアンライグラス草地の利用実態について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 10月~3月までのイタリアンライグラス草地(2ha)でのイノシシの糞塊数は、合計3,809個である。冬期にイノシシが牧草地に頻繁に出没することがわかる。
  2. 糞の内容物の占有割合の40%超が、イネ科草本を中心とした単子葉草本である(図1)。糞中の植物片にイタリアンライグラスが確認できる。
  3. 赤外線自動撮影カメラで、イノシシが牧草を採食するところを確認できる(図2)。
  4. イノシシが植物を食べられないような小型のケージ(縦1m×横1m×高さ0.6m)を12月に10個設置した後、3月にケージ内外の植物を刈り取る。その乾燥重量を測定すると、ケージ外のイタリアンライグラスの乾燥重量(30.0g/㎡)はケージ内(79.2g/㎡)よりも大幅に少ない(図3)。イノシシによる採食被害割合は62.1%である。
  5. 電気柵を適切に設置・管理すれば、牧草の採食被害を防止できる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:生産者、府県・市町村鳥獣害・畜産担当者
  2. 普及予定地域:イノシシによる農作物被害の発生地域
  3. その他:
    1. 牧草の地上部の採食被害が発生しているにもかかわらず、被害が見過ごされている可能性がある。牧草地に小型のケージを設置するだけで、簡単にイノシシの被害を確認できるので、まずは被害の有無を確認する必要がある。
    2. イノシシによって牧草そのものが被害を受けるだけでなく、餌の少ない冬にイノシシを養ってしまうという問題もある。このことを念頭において、被害が深刻な地域ではしっかりと侵入防止対策を行う必要がある。
    3. 耕作放棄地での冬季放牧用にイタリアンライグラスを導入する場合には、放牧牛用の電気牧柵にイノシシの侵入防止用に高さ20cmと40cmにも電線を張ると良い。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027018
カテゴリ イタリアンライグラス 乾燥 寒地 鳥獣害

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