飛翔能力を欠くナミテントウの孵化率および産卵数は系統間交雑により回復する

タイトル 飛翔能力を欠くナミテントウの孵化率および産卵数は系統間交雑により回復する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2008~2010
研究担当者 世古智一
三浦一芸
宮竹貴久
発行年度 2012
要約 長期間の人為選抜により低下した、遺伝的に飛翔能力を欠くナミテントウ系統の生存率や繁殖力は、異なる系統間の交雑により回復する。交雑によって得られた系統は、放飼後の次世代個体の発生数が多い。
背景・ねらい 遺伝的に飛翔能力を欠くナミテントウ系統は飛翔不能化していることによって定着率が向上しており、さまざまな作物とその栽培環境での利用が期待される。一方、長期にわたる飛翔能力に対する人為選抜は近親交配を促進させ、ナミテントウの生存率や繁殖力を低下させる。これらの天敵としての品質の低下は、大量生産における増殖効率のみならず、防除効果にも影響することが懸念される。近親交配の影響を回避するには、雑種強勢を利用することが有効であると考えられる。そこで、飛翔能力を欠くナミテントウの系統同士を交雑させることにより、孵化率および産卵数の回復をはかる。
成果の内容・特徴
  1. 飛翔能力を欠くナミテントウの2つの親系統AおよびBを交雑させて得られた系統(交雑系統)の産卵数(産卵開始から10日分の総卵数)は、コントロール(飛翔能力を持つナミテントウ系統)と同等で、親系統に比べて多い(図1a)。また、孵化率の回復の程度は、交雑時の雌雄の組み合わせによって異なる(図1b)。
  2. 施設ナスにおいて、交雑系統の成虫を放飼した区では親系統の成虫を放飼した区に比べてワタアブラムシの発生数が少なく(図2a)、ナミテントウの次世代の幼虫および成虫の発生数が多い(図2b、c)。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝的に飛翔能力を欠くナミテントウの大量生産体制に系統間交雑の行程を組み込むことによって、天敵としての品質を維持することができる。
  2. 系統AやBなどの親系統を永続的に維持し、それらの系統を交雑させて得られた次世代個体を販売するという品質管理モデルが提案される。
  3. 2013年2月現在、遺伝的に飛翔能力を欠くナミテントウは農薬登録の本申請の段階にあり、登録後に(株)アグリ総研で販売される予定である。
  4. 孵化率同様に、幼虫期の生存率の回復の程度も系統や雌雄の組み合わせによって異なるため、新たに複数の飛翔能力を欠くナミテントウ系統を育成し、回復程度の高い系統同士で交雑することが望ましい。
  5. 歩行活動量など、系統間交雑によって回復しない特性がある(Nakayama et al., 2010)。
  6. 飛翔能力を持つナミテントウ系統と交雑させると、生存率や繁殖能力は回復するが、飛翔能力も回復する。一方、飛翔能力を欠くナミテントウ系統同士の交雑であれば、飛翔能力は回復しない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027013
カテゴリ なす 農薬 繁殖性改善 防除 わた

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