圧力調節灌水器具を利用した日射制御型拍動灌水システムの傾斜農地への適用法

タイトル 圧力調節灌水器具を利用した日射制御型拍動灌水システムの傾斜農地への適用法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2007~2009
研究担当者 吉川省子
渡邊修一
吉川弘恭
発行年度 2012
要約 平坦農地用の日射制御型拍動灌水システムに、圧力調節機能と水垂れ防止機能を持つ灌水器具を利用することにより,灌水タンクから灌水場所への水頭落差が5m以上得られる傾斜農地に適用できる。点滴孔あたりの灌水量のばらつきを平均値の10%程度にできる。
キーワード 傾斜農地、日射制御、拍動灌水、圧力調節機能、ドリッパー
背景・ねらい 太陽光発電により駆動するソーラーポンプを利用した日射制御型拍動灌水装置は、日射量に応じて点滴灌水する装置である。これを用いた灌水システムは、作物に効率的に水、養分を供給でき、平坦地の露地栽培や施設栽培で導入が進んでいる。そこで、平坦地に比べて乾燥しやすい傾斜農地に適用できるように、圧力調節機能と水垂れ防止機能をもつボタン型灌水器具(ドリッパー)を配水系に組み込む改良を加え、新植茶園で効率的な水の供給効果を確認する。
成果の内容・特徴
  1. 灌水量のばらつきを小さくするためには、灌水タンクから5m以上の水頭落差を確保する必要がある。図1の事例では、上段の農地に日射制御型拍動灌水装置を設置している。
  2. 灌水量の均一化を図るため、圧力調節機能と水垂れ防止機能をもち、40kPaで灌水を開始し、50kPa~350kPaまではほぼ一定の流量(12、8、4、2Lh-1)を維持し、20kPaに下がると灌水を止める性能を有する市販のボタン型灌水器具(ドリッパー)(図2)を用いる。
  3. 等高線畝の中央に点滴チューブを敷設し、ドリッパーを介して、灌水タンク(容量300L)からの主送水管(PE管)にPVCチューブとバーブコネクターを用いて接続する(図2)。
  4. 畝内高低差の大きい部分では点滴チューブを短くして小流量用のドリッパーを使用するなど、ドリッパーの種類と点滴チューブの長さを調整する(図2、表1)。畝長が12m程度の場合は、畝内高低差が1.7mを超えると点滴チューブを2本に、2.2mを超えると3本に分ける(図2、表1)。この際、分割した点滴チューブの長さとドリッパーの組み合わせは、点滴孔あたりの流量がほぼ一定(本試験では200mLh-1)になるようにする。
  5. 4.のように調整すると、畝長約12m、傾斜方向の標高差約6m、同一畝内の標高差約2mの区画において、1日の灌水量の標準偏差を10%程度に収めることができる(表1)。
  6. 慣行の灌水(2.3Lh-1、点滴孔間隔20cm)を水道給水(17Lmin-1)条件下で行った場合は、点滴チューブの総延長は約90mであるのに対し、本システムでは600m以上を灌水する。
  7. 本システムを用いるとチャの幼苗は枯死を免れて活着し、5年目でほぼ成木となる(図1)。
  8. 本傾斜園(面積14a)に導入した灌水システムのコストは約21万円(灌水装置11万円+配管系その他10万円)であり、平坦農地へ導入する時のコストと大差ない(関連資料参照)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:傾斜地域の野菜、果樹、チャ栽培農家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:普及目標は傾斜農地に5年間で50台、香川県内生産者の傾斜地茶園に2台導入されている。平坦地用の日射制御型拍動自動灌水装置は年間約60台が販売されている。点滴灌水同時施肥法の適用で施肥量削減が可能である。
  3. その他:傾斜農地用資材はドリッパー120円/個、バーブコネクター46円/個、PVCチューブ5000円/100m。低流量で灌水するため、沢水や池水などの小水源の有効利用が可能。
  4. 関連資料:日射制御型拍動自動灌水装置の利用による露地夏秋ピーマンの減化学肥料栽培成果情報(2010)、近畿中国四国農業研究センター研究資料、7:21-31(2010)
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027012
カテゴリ 乾燥 傾斜地 コスト 施設栽培 施肥 ピーマン

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