中山間地の夏季のトマト育苗における冷水資源を活用した根域冷却技術

タイトル 中山間地の夏季のトマト育苗における冷水資源を活用した根域冷却技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2008~2012
研究担当者 木下貴文
安西昭裕
河内博文
長崎裕司
発行年度 2012
要約 中山間地の夏季のトマトポット育苗において、内径13mmの塩ビ管をポットの両脇に接するように設置し、管内に約16℃の冷水を日中通水して根域冷却を行うことで、苗の生育や活着が促進され、主に摘心段数が多くなることによって可販果収量が増加する。
キーワード トマト、局所冷却、高品質苗、暑熱対策、冷水資源
背景・ねらい 近畿中国四国地域の中山間地における雨よけ施設を利用した夏秋トマト栽培の新たな作型として、短期の密植栽培を2作連続で行う栽培技術の開発が行われている。この作型では、2作目の育苗期が夏季高温期にあたり、生育や活着が不良になるなど苗の品質が低下しやすいため、育苗期の暑熱対策が必要である。ただし、対象地域が中山間地の小規模産地であるため、導入コストをなるべく抑えなければならない。そこで、中山間地に豊富に存在する渓流水などの冷水資源を活用し、根域のみを局所的に冷却する低コストで効率的な冷房育苗技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 育苗ベンチ上に内径13mm、外径18mmの塩ビ管を直径9cmの黒ポリポットの両脇に接するように設置し、9:00~17:00の時間帯に8時間冷水(渓流水)を塩ビ管内に通水して根域冷却を行う(図1)。
  2. 冷却時間帯の平均根域温度(冷却期間は7月16日から8月1日の16日間)でみると、無処理区で29.6℃の場合に冷却区で26.9℃と、平均水温約16℃の冷水を通水することにより2.7℃低下する(図2)。
  3. ポット育苗時の根域冷却により、定植苗は地上部、地下部ともに生育が促進され、活着が良くなる(表1)
  4. ポット育苗時の根域冷却により、定植後の第1果房の開花が3日程度早まる。また、主に摘心段数が多くなることによって可販果数が増加する結果、可販果収量が24%増加する(表1、2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、愛媛県上浮穴郡久万高原町直瀬地区(標高約740m)で得られたものであり、西日本の中山間地域において、今回使用した渓流水の他に、湧水および地下水などの冷水資源が十分に得られる地域の施設栽培で適用可能である。
  2. 本成果は、育苗ベンチ面積3.6㎡(170本育苗相当)において、根域冷却用の塩ビ管を総延長で約50m直列に設置し、管内の冷水の流速を約7L・min-1とした場合の結果である。
  3. 本圃10a分として4000本を育苗すると想定した場合、そのための根域冷却装置の作成にかかる材料費(水源から冷却装置までの配管と育苗ベンチを除いた塩ビ管、継ぎ手、タイムスイッチ、電磁弁などの部材)は約15万円であり、容易に自作できる。
  4. 冷却用の塩ビ管は容易に取り外し可能であり、育苗ベンチを他用途で使用することができる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027008
カテゴリ 育苗 コスト 栽培技術 施設栽培 中山間地域 低コスト トマト

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