独立運転するマイクロ水力発電の費用および温室効果ガス排出量

タイトル 独立運転するマイクロ水力発電の費用および温室効果ガス排出量
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2012~2012
研究担当者 上田達己
後藤眞宏
桐 博英
浪平 篤
廣瀬裕一
滝口孝明
発行年度 2012
要約 開放クロスフロー水車による数kW以下のマイクロ水力発電を対象に、系統電力に連系しない独立運転を想定し、費用および温室効果ガス排出量を評価する。系統電力およびエンジン発電機と比較することにより、水車の設置に有利な条件を検討することができる。
キーワード 小水力発電、再生可能エネルギー、経済性評価、ライフサイクルアセスメント
背景・ねらい 数kW規模以下のマイクロ水力発電は、多くの場合、売電収入のみで採算をとることが難しい。しかし、系統電力に接続(連系)しない独立運転を想定すれば、このような発電にも、遠隔地の発送電システムでの災害・事故に左右されない電力供給が可能であるなどのメリットが考えられる。そこで、農村工学研究所で開発した開放クロスフロー水車を独立運転することを想定して、その費用および温室効果ガス排出量を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 開放クロスフロー水車(以下CF水車、図1)、系統電力、エンジン発電機の3者から供給される電力を、電力利用費および温室効果ガス排出量の観点から比較する。CF水車の最大出力0.465kW(全水頭差0.504m、流量0.236m3/s)を基準としたときの設備利用率70%(CF水車で想定される最大値)での運転をまず評価し(図2、3)、さらに、設備利用率を変化させた場合の影響を考察する(図4)。評価範囲は、CF水車・発電機の製造(原料採取まで含む)および利用、または系統電力の利用である。
  2. 電力利用費を比較すると(図2)、CF水車の発電原価は、系統電力の購入費用の約3.9倍である。一方で、エンジン発電機は、ガソリンの購入費を勘定すると、CF水車の約1.4倍の費用がかかる。これらのことから、電力利用費の観点からみると、系統電力が直ちに利用できる地点では、CF水車がこれを代替することは困難だが、系統電力が利用困難な地点(例えば、僻地における獣害防止電気柵への電力供給)では、CF水車がエンジン発電機を代替することは可能とみられる。
  3. 温室効果ガス排出量を比較すると(図3)、CF水車やエンジン発電機本体の製造・利用にかかる排出量は比較的小さいが、エンジン発電機では、これにガソリンの製造・利用にともなう排出が大きく上乗せされる。系統電力については、我が国の大手電力会社の電源構成から推定された排出量を示しているが、CF水車のおよそ4.2倍である。これらのことから、温室効果ガス排出削減の観点からは、CF水車が他の2者に比べて優れている。
  4. エネルギー回収期間とGHG排出回収期間(図4)は、設備利用率30%以上では水車の耐用年数内におさまっている。このことから、CF水車によるマイクロ水力発電は、製造コスト削減により費用の問題が解決されれば、たとえ設備利用率が70%に達しなくても、エネルギー生産およびGHG排出削減の観点からは、有意義な事業となり得る。
成果の活用面・留意点
  1. CF水車の設置条件(側壁高さや流量の季節変動など)によっては、設備利用率が70%を下回ることがある。したがって、設置予定地点においてどの程度の設備利用率が見込まれるのか、事前に調査することが肝要である。
  2. 蓄電池の活用により、発電した電力を様々な電動器機の駆動に利用できる。例えば、設備利用率70%での日発電量7.8kWhを用いると、電動バイク270~390km、電動草刈機34時間、電動噴霧機12,800Lなどが駆動可能と見込まれる。ただし、各器機の一充電当たりの稼働量はこれより小さいので、蓄電池や電動器機を複数台用意する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026919
カテゴリ 季節変動 コスト 再生可能エネルギー

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