円筒を用いた転換畑の排水性の評価手法

タイトル 円筒を用いた転換畑の排水性の評価手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2011~2012
研究担当者 福本昌人
発行年度 2012
要約 直径45cmの円筒を下層土に達するまで打ち込んで測定した湛水開始60分後のインテークレートと、同測定の24時間後に測定した円筒内の作土の土壌水分張力との組み合わせを評価指標にして、転換畑の排水性を評価する手法である。
キーワード シリンダーインテークレート試験、転換畑、排水性、亀裂
背景・ねらい 農林水産省は、転換畑における麦・大豆等の生産力向上に資するため、平成23年度に汎用化水田機能再生支援事業を立ち上げ、暗渠排水の機能低下要因の簡易な診断手法の確立等を進めている。暗渠排水が不良である場合、暗渠管の目詰まりよりも作土から暗渠管までの水みちが十分に形成されていないことがその原因になっていることが多い。特に粘土質な転換畑では、乾燥収縮に伴って発達した亀裂が下層土内の水みちとして機能しており、その発達度合が暗渠排水の良否に大きく影響している。そこで、暗渠排水の機能診断に資するため、亀裂の影響を反映した転換畑の排水性の評価手法を提案する。
成果の内容・特徴
  1. 直径45cmの円筒を下層土に達するまで打ち込んで、円筒の周囲に緩衝池を設けずに円筒内のみに65分間湛水し、湛水開始55分後と65分後に水位を測定して、湛水開始60分後のインテークレート(水の浸入速度;I60)を求める(図1)。粘土質な転換畑でこのようにしてシリンダーインテークレート試験を行うと、下層土内に水みち(亀裂)が十分に形成されているか否かを評価することができる。
  2. 調査した火山灰土圃場と沖積壌土圃場では、試験時の下層土の土壌水分張力とI60との間に明瞭な関係は見られない。一方、沖積粘土圃場では、弾丸暗渠施工ラインの直上、中間地点(ラインから1.5m離れた地点)とも、下層土の土壌水分張力が大きくなるほどI60も大きくなる傾向が見られる(図2)。これは、下層土の乾湿に伴って亀裂の発達度合が変化し、下層土の透水性自体が変化しているためである。
  3. シリンダーインテークレート試験が終わり次第、円筒内から水を除去してテンシオメータの素焼きカップを円筒中心の深さ10cmに設置し、ビニール袋を被せて土壌面蒸発を抑制した状態で24時間放置してから作土の土壌水分張力(S24)を測定する(図1)。S24は、24時間容水量に対応する土壌水分張力にほぼ相当している。S24の測定値は、火山灰土圃場(pF1.8前後)、沖積壌土圃場(pF1.5前後)、沖積粘土圃場(pF1.3前後)の順に大きい。
  4. I60とS24は、下層土のそれぞれ飽和時、不飽和時の透水性に対応しており、それらの組み合わせを評価指標として排水性を評価することができる(図3)。例えば、I60は大きいが、S24は小さい場合(亀裂が発達した沖積粘土圃場)には、飽和時の透水性は良好で、大雨時に暗渠排水は十分に機能するが、不飽和時の透水性は不良であるため、暗渠排水により圃場に冠水がなくなっても作土の過湿状態がしばらく続く、と推察できる。
成果の活用面・留意点
  1. 農地基盤のストックマネージメント技術の一つとして、転換畑の暗渠排水の機能診断等を行う際に活用できる。
  2. 用いた直径45cmの円筒は、シリンダーインテークレート測定器のオプション(直径30cmの円筒の周囲に緩衝池を設けるための外枠シリンダ)として市販されているものであり、容易に入手できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026916
カテゴリ 乾燥 診断技術 水田 ストック 大豆 排水性

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