ヒートポンプを利用した温室暖房システムの性能試算

タイトル ヒートポンプを利用した温室暖房システムの性能試算
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2009~2012
研究担当者 奥島里美
石井雅久
森山英樹
佐瀬勘紀
発行年度 2012
要約 暖房必要熱量の100%をヒートポンプでまかなうために必要なヒートポンプ能力は、50%をまかなう場合の3~4倍が必要である。一方、90%をまかなうには約2倍でよい。また、水熱源は空気熱源よりもヒートポンプ能力を約2割小さくできる。
キーワード 水熱源、空気熱源、暖房必要熱量、蓄熱水槽、熱交換器
背景・ねらい 日本では、ヒートポンプは暖房のほか冷房、除湿もできることから、園芸施設にヒートポンプを導入する例が増えている。導入されるヒートポンプは空気熱源タイプと水熱源がある。また、熱の供給も温冷風方式と温冷水方式がある。温冷風供給方式では直接空調が行われ、熱交換効率が良い。一方、温冷水供給方式の空調には水から空気への熱交換器が別途必要となるが、蓄熱はしやすい。このようにヒートポンプのシステムにはそれぞれ特徴があるので、暖冷房負荷に合った適切なシステム設計が求められる。
成果の内容・特徴
  1. 空気熱源−温風供給(A-Aシステム)、水熱源−温風供給(W-Aシステム)、水熱源-温冷水供給方式に蓄熱も加えたシステム(W-Wシステム)について熱収支モデルを基に試算を行い(図1)、網走、山形、東京、鹿児島の4地点における各システムの規模や性能を調べた。
  2. ヒートポンプは、温風暖房機などと組み合わせて暖房必要熱量の50%程度を供給するように設置されることが多いが、暖房必要熱量の100%をヒートポンプでまかなうために必要なヒートポンプの能力は、50%をまかなう場合の3~4倍が必要である。一方、90%をまかなうには約2倍でよい。また、水熱源は空気熱源よりもヒートポンプ能力を約2割小さくできる(図2では東京での結果を例示)。
  3. W-AシステムはA-Aシステムよりもヒートポンプ能力を約2割小さくでき、さらにW-WシステムはA-Aシステムよりもヒートポンプ能力を4~5割小さくできる(図2)。
  4. W-Wシステムは4地点のどこでも全暖房期間を通して他のシステムより補助暖房機の燃料の節減効果が大きい。しかし、最も暖房負荷の大きい時間はW-Wシステムの供給熱量がW-Aシステムの供給熱量を大きく上回ることはない。これは最も寒い気象が続く期間の蓄熱水温の低下が関係している。暖房が必要だがそれほど寒くない時間帯では、W-Wシステムは暖房必要熱量をかなりまかなうことができ、W-Aシステムに比べて補助暖房燃料を年間 50~70%削減できる(図3では東京での結果を例示)。
  5. W-Wシステムでは熱交換器台数と蓄熱槽容量の増加に伴って供給熱量が増加するが、ヒートポンプ能力に対して効率の良い熱交換器台数と蓄熱槽容量が存在する。蓄熱水槽はほぼ24時間で上限水温まで最大限の蓄熱ができる容量が適す(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. 同じ国内でも場所や作物の要求温度に合わせて慎重に暖房システムの設計・制御を行う必要がある。
  2. W-Wシステムの導入を検討する場合、補助暖房機、蓄熱水槽、熱交換器の初期費用とともにこのランニングコストが重要な検討項目となる。
  3. 実際の設計に当たっては、温室環境制御条件や機器性能、水熱源温度等を実状に合わせた、より詳細で正確な計算が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026886
カテゴリ 環境制御 コスト ヒートポンプ

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