国内新規のアルボウイルスの性状解明とRT-PCRによる検出法の開発

タイトル 国内新規のアルボウイルスの性状解明とRT-PCRによる検出法の開発
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2011~2012
研究担当者 梁瀬 徹
加藤友子
相澤真紀
首藤洋三
平島宣昌
松本春菜
白藤浩明
山川 睦
津田知幸
発行年度 2012
要約 近年、国内への侵入を繰り返し、牛の異常産との関連が疑われるサシュペリウイルスとシャモンダウイルスを、RT-PCRにより高感度に検出することができる。これらのウイルスは、欧州に出現した新興ウイルス(シュマレンベルクウイルス)と近縁である。
キーワード 異常産、牛、アルボウイルス、ヌカカ、遺伝子再集合
背景・ねらい 近年、世界的に新興・再興のアルボウイルス感染症が頻発し、家畜衛生上、大きな問題となっている。特に、欧州では2006~2007年のブルータングや2011~2012年のシュマレンベルクウイルス感染症の大規模な流行により、牛やめん羊で甚大な生産阻害が発生した。我が国でも、サシュペリウイルスやシャモンダウイルス等、シュマレンベルクウイルスと同じオルソブニャウイルス属の新規ウイルスの侵入が繰り返し起こり、牛の異常産(流産、早産、死産、先天異常子の出産)との関連が疑われている。本研究では、これらオルソブニャウイルスの遺伝学的性状を明らかにするとともに診断技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 未知ウイルスとされていたシュマレンベルクウイルスは、オルソブニャウイルスの3分節のRNAゲノムの解析から、遺伝子再集合(分節ゲノムの交換)によりシャモンダウイルス(SおよびL RNA分節)とサシュペリウイルスの(M RNA分節)のゲノムを併せ持つことが示唆される(図1)。
  2. 国内で分離されたオルソブニャウイルス属に含まれるウイルスの塩基配列の情報(日本DNAデータバンク登録済み)との比較により、国外から新たに侵入したウイルスをいち早く判別することができる。
  3. S RNA分節の配列に基づき作出したRT-PCR法*により、異常産に関連する既知のオルソブニャウイルス属のアカバネウイルス、アイノウイルス、ピートンウイルスに加えて、サシュペリウイルスとシャモンダウイルスを同一のプライマーセットで検出できる(図2)。
    *プライマーセット、AKAI206F(5'-CACAACCAAGTGTCGATCTTA-3')およびSimbuS637-656(5'-GAGAATCCAGATTTAGCCCA-3')を用い、50℃30分の逆転写反応、94℃2分の熱変性後、94℃30秒→55℃30秒→68℃45秒のステップを10サイクル、さらに94℃30秒→55℃30秒→68℃45秒(1サイクルごとに5秒ずつ追加)のステップを25サイクル、最後に68℃7分の加温。
  4. 開発されたRT-PCR法は、高感度に野外分離株を検出できることから、オルソブニャウイルス属の病性鑑定施設での診断、および流行監視技術の高度化に有用である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:動物検疫所、都道府県の家畜病性鑑定施設
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:国内および海外のアルボウイルス感染症が流行している諸地域
  3. その他:動物検疫所や都道府県の病性鑑定施設の他、海外から検出用RT-PCRの問い合わせを受け、輸入検疫に使用を検討。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026884
カテゴリ 飼育技術 診断技術

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