CXCL8はウシの乳腺における好中球介在性炎症増幅サイクル誘導因子である

タイトル CXCL8はウシの乳腺における好中球介在性炎症増幅サイクル誘導因子である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2010~2012
研究担当者 渡部 淳
秦 英司
広田次郎
清水眞也
犬丸茂樹
発行年度 2012
要約 CXCL8を乾乳期乳牛の乳頭槽内に投与して誘発した臨床型乳房炎では、CXCL8が好中球介在性の炎症増幅を誘発し、乳清中の好中球エラスターゼ活性、催炎性ラクトフェリン由来ペプチドおよびCXCL8濃度の持続的増加が起きる。
キーワード CXCL8、好中球エラスターゼ、好中球、乾乳期乳房炎、黄色ブドウ球菌
背景・ねらい 黄色ブドウ球菌性乳房炎は慢性化すると治療困難となるため、その早期発見が重要である。また治療可否の判定のためには炎症フェーズの診断が必要であるが、黄色ブドウ球菌性乾乳期乳房炎の各炎症フェーズの病態は十分に解明されていない。
黄色ブドウ球菌性乳房炎が進行していく過程において、好中球介在性の炎症増幅サイクル(図1に例示)が誘導されると想定されているが、その誘導因子や病態との関連について明らかにされていない。ここでは黄色ブドウ球菌性乾乳期乳房炎の病態を解明する一端として、好中球活性化因子であるCXCL8(インターロイキン-8ともいう)が好中球介在性炎症増幅の誘発因子である可能性について、また炎症増幅が関与する炎症フェーズについて検討することをねらう。
成果の内容・特徴
  1. CXCL8による好中球介在性炎症増幅サイクルの誘導(図1)を検証するため、健康な乾乳期乳牛の乳頭槽内に組換え体ウシCXCL8(50µg/分房/頭)を投与すると、顆粒球数の著増および乳中凝集物の形成を伴う臨床型乳房炎が誘発される(図2:4例中3例で臨床型乳房炎発症)。
  2. 顆粒球数の増加に伴い、乳清中の好中球エラスターゼ活性、催炎性ラクトフェリン由来ペプチド(LDP)およびCXCL8濃度が増加する(図3)。臨床型乳房炎を発症しない場合、これらの増加はみられず、投与分のCXCL8は24時間以内に検出されなくなる。
  3. 乳中凝集物がみられる急~亜急性期(乾乳8~12日目、臨床型乳房炎発症3日目)の黄色ブドウ球菌性乾乳期乳房炎(自然発生例)の乳清中に好中球エラスターゼ活性、LDPおよびCXCL8濃度の増加が認められる。
  4. CXCL8誘発乾乳期乳房炎および黄色ブドウ球菌性乾乳期乳房炎(自然発生例)において、乳清中の好中球エラスターゼ活性、LDPおよびCXCL8濃度の増加はほぼ同程度である。
  5. 以上から、CXCL8はウシの乳腺における好中球介在性炎症増幅サイクル誘導因子であり、この炎症増幅サイクルは黄色ブドウ球菌性の臨床型乾乳期乳房炎の病態発現に関与することが示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. CXCL8は黄色ブドウ球菌性臨床型乳房炎に似た、好中球介在性の炎症増幅を伴う持続的な乳房炎を誘発する。CXCL8は当乳房炎の病態の解明および制御に利用できる。
  2. 好中球介在性炎症増幅は黄色ブドウ球菌性乾乳期乳房炎の亜急性期の病態と関連する。当乳房炎の沈静化の機序を解明することにより、予後診断の指標が見いだされる。
  3. CXCL8に対する牛の反応には個体差がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026879
カテゴリ 乳牛

この記事は