乳用牛および肉用繁殖牛における牛白血病ウイルスの全国浸潤状況

タイトル 乳用牛および肉用繁殖牛における牛白血病ウイルスの全国浸潤状況
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2009~2011
研究担当者 小林創太
村上賢二
小西美佐子
亀山健一郎
筒井俊之
早山陽子
室賀紀彦
発行年度 2012
要約 近年の全国的な牛白血病ウイルスの抗体陽性率は、乳用牛で約40%、肉用繁殖牛で約30%であるが、それぞれ地域差が認められる。また0歳時点で乳用牛の約20%、肉用繁殖牛の約15%が抗体陽性を示し、その後抗体陽性率は加齢とともに高まる。
キーワード 地方病性牛白血病、牛白血病ウイルス、浸潤状況、感染伝播
背景・ねらい 牛白血病は地方病性牛白血病と散発性牛白血病に分類されるが、前者は牛白血病ウイルス(BLV)により引き起こされる。我が国における牛白血病の摘発は増加し続けており、2011年には1,700頭以上となっているが、これらのほとんどは、地方病性牛白血病であると考えられている。BLV感染牛は生涯にわたって抗体を保有することから、BLV抗体の保有状況を調べることにより、その有病率を知ることができるが、我が国におけるBLVの全国レベルでの浸潤状況の把握は、1980年代以来実施されていない。そこで本研究では、国内全都道府県の協力のもと、抗体陽性率を指標にして、6ヶ月齢以上の乳用牛(すべて雌。以下、「乳用牛」)、ならびに肉用繁殖牛と6ヶ月齢以上のその候補牛(以下、「肉用繁殖牛」)における近年のBLV浸潤状況を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 酪農場587戸由来の乳用牛11,113頭(2009年度)、および肉用牛農場557戸由来の肉用繁殖牛9,722頭(2010年度)について血清エライザ検査を実施した結果、それぞれ40.9%(95%信頼区間:40.4、41.4)、28.7%(同:28.3、29.2)が抗体陽性を示した(図1)。この結果は1980年代の調査結果と比較すると、乳用牛で約10倍、肉用牛で約4倍の値となっている。
  2. 地域ごとの抗体陽性率は、乳用牛では北海道が低く、関東、中国、九州・沖縄で高い傾向がある。一方、肉用繁殖牛の抗体陽性率は北海道、四国で低く、東北、九州・沖縄が比較的高い(表1)。
  3. 乳用牛では、1歳になるまでに約20%の子牛が抗体陽性を示し、その後抗体陽性率は次第に上昇するが、満4歳で約45%に到達した後は一定になる(図1)。同様の傾向は肉用繁殖牛にも認められるが、0歳では15%弱が抗体陽性を示し、満3歳で約30%に達した後は一定になっており、常に乳用牛よりも低い抗体陽性率を示している(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究により、約30年ぶりに全国におけるBLV浸潤状況が明らかになった。近年の抗体陽性率の上昇は、飼養管理や飼料環境が関与していると考えられ、これらの要因についてさらに分析していく必要がある。
  2. この結果は農林水産省をはじめ、全国の家畜衛生関係諸機関にとって、BLV対策を検討する際の基礎情報の一端となる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026877
カテゴリ 飼育技術 肉牛 乳牛 繁殖性改善

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