Mannheimia haemolyticaにおけるフロルフェニコール耐性機構

タイトル Mannheimia haemolyticaにおけるフロルフェニコール耐性機構
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2011~2012
研究担当者 勝田 賢
河本麻理子
三上 修
玉村雪乃
内田郁夫
発行年度 2012
要約 フロルフェニコール耐性を示す多剤耐性Mannheimia haemolyticaから薬剤耐性プラスミドを分離し、全塩基配列を世界で初めて決定した。本プラスミドにはフロルフェニコール耐性や伝達性に関わる遺伝子などが存在するが、他の耐性遺伝子は認められない。
キーワード Mannheimia haemolytica、牛呼吸器病、薬剤耐性プラスミド、フロルフェニコール耐性
背景・ねらい Mannheimia haemolyticaによる牛呼吸器病の治療には抗生物質等の薬剤が使用されているが、近年多剤耐性化の傾向にある。フロルフェニコールは牛呼吸器病原因菌に対して高い効果が期待できる抗菌剤であり、これまで本剤に耐性を示すM. haemolyticaの分離は報告されていない。今回、本剤に耐性を示すM. haemolyticaを分離し、世界で初めて本菌のフロルフェニコール耐性に関与するプラスミドの全塩基配列を決定し、機能を明らかにする事により、本薬剤耐性の伝播機構解明の一助とする。
成果の内容・特徴
  1. M. haemolyticaの薬剤耐性プラスミドpMH1405の全塩基配列(7,654 bp)を決定し(accession number: AB621552)、その遺伝子地図を図1に示す。フロルフェニコール-クロラムフェニコール耐性遺伝子(floR)、伝達性に関わる遺伝子mobAmobBmobCおよび複製に関わる遺伝子repArepBrepCがプラスミド上に認められる。
  2. 形質転換によりプラスミドpMH1405を導入した大腸菌とPasteurella multocidaは、フロルフェニコールとクロラムフェニコールに耐性を示すようになる。
  3. pMH1405を保有している菌株は、オキシテトラサイクリン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ナリジクス酸、アンピシリン、およびアモキシシリンにも耐性を示すが、これら薬剤に対する耐性遺伝子はpMH1405上には認められない(図1)。
  4. プラスミドpMH1405を脱落させた株は、野生株と比較するとフロルフェニコールに対するMIC値が低下し感受性となるが、クロラムフェニコールのMIC値に変化は認められない(表1)。
  5. クロラムフェニコール耐性遺伝子を対象にしたPCR法の結果は、本菌のクロラムフェニコール耐性にはfloR遺伝子だけではなく、M. haemolyticaのクロラムフェニコール耐性遺伝子として報告されているcatA3遺伝子も関与していることを示す。
成果の活用面・留意点
  1. pMH1405には伝達性に関わるmob遺伝子が存在している。このためフロルフェニコール耐性遺伝子が伝達性プラスミドにより感受性菌に伝達する危険性がある。
  2. 牛呼吸器病の効果的な治療を行うため、今後も呼吸器病原因菌の薬剤感受性や耐性機構について継続的に調査し、薬剤の慎重使用を啓蒙していく必要性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026875
カテゴリ 薬剤 薬剤耐性

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