飼料畑二毛作における放射性セシウム移行を抑制するための土壌交換性カリ含量

タイトル 飼料畑二毛作における放射性セシウム移行を抑制するための土壌交換性カリ含量
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2011~2012
研究担当者 原田久富美
須永義人
川地太兵
発行年度 2012
要約 牛ふん堆肥を連用し、窒素単肥とした飼料用トウモロコシ-イタリアンライグラス二毛作栽培体系において、飼料のミネラルバランスを悪化させずに放射性セシウムの移行を抑制できる栽培後土壌の交換性カリ含量は、関東東海地域の飼料畑土壌診断基準の上限値程度である。
キーワード 飼料用トウモロコシ、イタリアンライグラス、放射性セシウム、堆肥、カリ
背景・ねらい 飼料作物の放射性セシウム(Cs)の移行抑制に有効な飼料畑における土壌交換性カリ含量水準の策定が求められている。飼料作物では牛ふん堆肥が施用されて栽培されることが多く、放射性Csの吸収を抑制するカリウムを多く含む牛ふん堆肥の利用は、飼料作物の放射性Cs濃度の低減効果が期待される。そこで、被災地域における飼料畑の代表的な作付け体系である飼料用トウモロコシ-イタリアンライグラス二毛作を対象とし、牛ふん堆肥の継続的な施用を想定して、堆肥施用量が土壌の交換性カリ含量、飼料作物中の放射性Cs濃度とミネラルバランスに及ぼす影響を検討し、移行抑制のための管理指標となる土壌交換性カリ含量を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 牛ふん堆肥を継続的に施用し、窒素単肥で栽培されたトウモロコシでは、施肥基準等で推奨されている一作あたり3t/10a程度の堆肥施用量とした場合、無施用に比べて、放射性Cs濃度が2011年で約40%、2012年で約30%低下し、堆肥の継続的な施用は移行低減に有効である(図1)。
  2. 牛ふん堆肥施用量3t/10a(カリ成分25kgK2O/10a)の場合、土壌の交換性カリ含量は関東東海地域の飼料畑土壌診断基準の上限値である30~50mgK2O/100g乾土(草地管理指標)程度に維持される。しかし、堆肥施用量3t/10a未満では年次経過とともに土壌の交換性カリ含量は減少し、4.5t/10aでは上昇傾向を示す(図2)。
  3. 栽培後土壌の交換性カリ含量が15~40mgK2O/100g乾土の範囲では、トウモロコシの非放射性Cs濃度は交換性カリ含量が高くなるほど低減する。一方、イタリアンライグラスのCs濃度は土壌の交換性カリ含量が15~50mgK2O/100g乾土の範囲でほぼ一定であり、土壌の交換性カリ含量の影響は認められない(図3)。放射性Csについても同様の関係が認められる(図1、2)。
  4. 栽培後土壌の交換性カリが関東東海地域の飼料畑土壌診断基準の上限値である30~50mgK2O/100g乾土程度では、飼料品質としてのミネラルバランスを示すK/(Ca+Mg)当量比は、イタリアンライグラスの場合ガイドライン値2.2と同程度である。トウモロコシでは2.2よりも高めとなるが、カリウム濃度は1.5%以下であり、飼料としての利用場面を勘案すると問題は生じにくい(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:県及び農協等、指導機関の関係者及び生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:原発事故により土壌に放射性Csが沈着した南東北~関東の飼料畑約2万haに適用可能である。
  3. その他:調査圃場では、作付け毎にプラウ耕を実施し、耕起深は23cm程度である。堆肥中に暫定許容値以下の放射性Csが含まれていたが、その影響は小さい。堆肥のカリ濃度にはばらつきがあるため、定期的に土壌診断、堆肥分析を行うことが望ましい。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026848
カテゴリ イタリアンライグラス 栽培体系 飼料作物 飼料用作物 施肥 とうもろこし 土壌診断 二毛作

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