家畜排せつ物貯留の実施設における温室効果ガス排出精密測定システム

タイトル 家畜排せつ物貯留の実施設における温室効果ガス排出精密測定システム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2010~2012
研究担当者 長田 隆
湊 啓子
甲田裕幸
原 悟志
山川政明
原田泰弘
皆川啓子
発行年度 2012
要約 ふん尿混合状態で貯留される乳牛ふん尿から排出される温室効果ガスを精密に測定できるシステムである。農家施設での実測が可能となり温室効果ガス国家排出量算定の精緻化に貢献し、排出削減の経済的方法の導入に必要な検証方法として採用されている。
キーワード 家畜排せつ物、温暖化、スラリー、メタン、カーボンオフセット
背景・ねらい 家畜排せつ物起源の温室効果ガス排出は年間770万トン(2010年)に達し、環境にやさしい日本農業推進のため削減が求められている。乳牛ふん尿の貯留のメタン排出は国内農業の主要な排出でありながら長期間に及ぶ貯留や気象条件を要因とした発生変動が大きく、排出量の実測が難しい状況にあった。メタン排出実態の把握による国家インベントリ精緻化とともに、メタン排出削減方策の開発とその削減効果の検証、さらに削減方策の導入時の判断に必要な貯留実施設における温室効果ガス測定システムが求められている。
成果の内容・特徴
  1. 本測定システムは、貯留されたふん尿混合物(スラリー)上に浮かべて発生ガスを採取するためのチャンバー、定量換気を行うブロアと、測定機器(換気量とガス濃度)から構成されている(図1)。
  2. 本測定システムは、定量のメタン発生で95%の回収成績が確認されている。 また実施設に2つの測定システムを同時に設置して、測定部位によらず有意差の無い測定が出来る事が確認された信頼性の高いシステムである(Minato K. et al 2012)。
  3. 貯留スラリーの温度とメタン排出の間には明確な相関がある(図2)。このため温室効果ガス年間排出量を算出するため、少なくとも2週間以上の連続測定を高温期(夏季:25度以上)と低温期(冬季:10度以下)にそれぞれ行う事が必要である。
  4. 貯留スラリー起源のメタンと一酸化二窒素排出には明確な日間変動があり(図3)、日内変動を考慮して24時間を最低継続時間とする測定期間の設定が必要である。またアンモニアの排出には日照によるスラリー表層温度の上昇が深く関係している。
  5. 本測定システムにより道内複数の貯留施設において測定・評価した結果から、メタン排出係数(gCH4/g有機物(VS))を算出すると、1.02-1.39%となる。現在日本国インベントリで設定されている3.9%の排出係数は、北海道においては過剰推計と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及予定地域として国内外に普及の可能性があるが、測定システムが高価であるため、採用事例を拡大するために精度を保ちながら装置の低コスト化を図っている。
  2. 2011年度の農林水産省環境政策課の調査事業(農林水産業由来温室効果ガス排出量精緻化検討・調査事業)で、この測定システムが採用された。
  3. 本測定法の開発で主要な家畜排せつ物処理施設におけるモニタリング体制が整備され、環境省オフセット・クレジット(J-VER)制度の対象として、家畜の飼養における排せつ物の管理方法を変更することにより、排せつ物管理時に発生する温室効果ガス排出量を削減するプロジェクトが追加された(L002)。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026837
カテゴリ 低コスト 乳牛 モニタリング

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