タイトル |
サルモネラ属菌の増殖を抑制する鶏由来乳酸菌 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究課題名 |
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研究期間 |
2008~2012 |
研究担当者 |
山崎 信
大津晴彦
阿部啓之
田島 清
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発行年度 |
2012 |
要約 |
鶏ヒナおよび成鶏由来乳酸菌の中には、サルモネラ属菌に対して増殖抑制能を示す株があり、その中のいくつかの菌株は耐酸性および耐胆汁酸能を併せ持つ。これらの経口投与により、下部消化管におけるサルモネラ属菌への感染抑制が期待できる。
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キーワード |
乳酸菌、サルモネラ属菌、鶏、耐酸性、耐胆汁酸性
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背景・ねらい |
乳酸菌は有機酸等を産生して病原菌の増殖を抑えることが知られており、鶏のサルモネラ属菌等への感染制御を目的として、乳酸菌を含む鶏の盲腸内容物を培養して経口投与する競合排除法が採用されている。しかしながら、未同定の微生物の混入による新たな疾病の発生も否定できないため、サルモネラ属菌に対して増殖抑制能をもつ乳酸菌の単離と同定は安全な畜産物生産のためには重要と考えられる。そこで、鶏由来の乳酸菌を単離し、サルモネラ属菌に対する増殖抑制能、耐酸性および耐胆汁酸能を評価し、経口投与により下部消化管におけるサルモネラ属菌への感染抑制効果が期待できる菌株を選抜する。
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成果の内容・特徴 |
- 鶏ヒナおよび成鶏の排泄物から単離した乳酸菌24菌株について、Salmonella Enteritidis(SE)およびS. Typhimurium(ST)の増殖抑制能を寒天重層法と、pHを調製した、またはしない培養上清とSEおよびSTとの共培養によって評価するとともに、下部消化管への到達能の指標として耐酸性および耐胆汁酸性を測定する。
- 寒天重層法による試験の結果、阻止円の大きさは、Lactobacillus (L) salivariusの一部の菌株が大きく、これらの菌株のサルモネラ属菌に対する増殖抑制能は高いと推察される(表1)。一方、いずれの乳酸菌においてもSEとSTの間に大きな差は認められない。
- いくつかのL. salivarius(CC3、CC5、CC6)およびL.crispatus(CC2、CE3)の培養上清のpHを6.25に調製し、SEおよびSTと共培養しても培養液の濁度の大幅な上昇が認めらないことから、これらの菌株のサルモネラ属菌増殖抑制能は、有機酸の産生以外によるものと推察される。
- 今回単離されたL. reuteri、L. vaginalis、L.orisおよびEnterococcus faeciumの耐酸性は高い。また、今回単離されたL. reuteri、L. oris、L. crispatusおよびL.kitasatonisの一部は、胆汁酸含有培地で培養しても菌数があまり減少しないことから、耐胆汁酸性が比較的高いと推察される。
- 以上の結果から、サルモネラ属菌の増殖抑制能をもつ鶏由来乳酸菌のいくつかは、耐酸性および耐胆汁酸能も併せ持ち、鶏の下部消化管においてサルモネラ属菌の増殖を抑制することが期待できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本結果はin vitroでの結果であり、実際の消化管内でのサルモネラ属菌増殖抑制能を担保するものではない。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026820 |
カテゴリ |
鶏
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