稲発酵粗飼料調製における添加乳酸菌の菌株依存的な発酵品質改善効果

タイトル 稲発酵粗飼料調製における添加乳酸菌の菌株依存的な発酵品質改善効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2008~2012
研究担当者 遠野雅徳
小林寿美
田島 清
上垣隆一
発行年度 2012
要約 乳酸菌Lactobacillus plantarum subsp. plantarumは、同亜種であっても菌株レベルで表現・遺伝子型が異なる。稲発酵粗飼料調製時、同亜種異株のLactobacillus plantarum subsp. plantarumの添加による発酵品質改善効果は、菌株依存的に異なる。
キーワード 乳酸菌、Lactobacillus plantarum subsp. plantarum、飼料用稲、発酵飼料調製
背景・ねらい 近年、我が国の飼料自給率が低迷を続ける一方で、輸入飼料の著しい高騰が大きな社会問題となっており、食料安全保障の観点から国産自給飼料の増産が期待されている。飼料用稲は、水田休耕地を有効活用できるため、全国規模で普及・拡大が進んでいる。 本研究では、安定した稲発酵粗飼料の生産と流通に貢献するため、稲発酵粗飼料添加用乳酸菌の発酵改善メカニズムの解明と更なる改善効果を期待できる新規乳酸菌製剤を開発することを目的とし、乳酸菌Lactobacillus plantarum subsp. plantarumの稲発酵粗飼料調製時における発酵品質改善効果について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 牧草サイレージ由来TO1000、TO1001、TO1002及びTO1003株の16S rRNA及びrecA遺伝子配列解析により、これらの菌株はLactobacillus plantarum subsp. plantarumと同定される(これらの菌株の16S rRNA遺伝子配列のGenBank/EMBL/DDBJアクセッションナンバー:AB713898-AB713901)。
  2. TO1000、TO1001、TO1002及びTO1003株の生理学的性状解析により、これらの菌株間において増殖可能pH及び糖資化性が異なることから、Lactobacillus plantarum subsp. plantarum同亜種異株において表現型が異なることが明らかとなる(表1及び表2)。これらの菌株の糖資化性パターンは、Lactobacillus plantarumグループに属する各種基準株の糖資化性パターンと異なる(表2)。
  3. バクテリオシンである各種プランタリシン構造遺伝子解析により、TO1000、TO1002及びTO1003株にはプランタリシンA関連遺伝子の存在が認められるが、TO1001には認められない(表1)。また、これらの菌株において、プランタリシンNC8、S及びW構造遺伝子の存在は認められない(表1)。
  4. 飼料用稲(埼玉県熊谷市産、「はまさり」)の供試材料の水分は60%以上であり、pHは6.24である。材料中に有機酸(乳酸、酢酸、プロピオン酸及び酪酸)は検出されない。
  5. 小規模サイレージ法により調製される稲発酵粗飼料(60日間貯蔵)におけるLactobacillus plantarum subsp. plantarum同亜種異株の発酵品質改善効果の比較により、乾物量、pH、乳酸含量、酵母菌数、好気性細菌菌数、バチルス属細菌菌数及びクロストリジウム属細菌菌数が菌株依存的に有意に異なる(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 稲発酵粗飼料調製におけるLactobacillus plantarum subsp. plantarumの発酵品質改善効果は、菌株依存的に異なることが明らかとなり、今後の飼料添加用乳酸菌製剤の新規開発・改良における基礎的知見として有意義である。
  2. 供試株中、稲発酵粗飼料の発酵品質改善効果を最も期待できる株はTO1002である。
  3. Lactobacillus plantarum subsp. plantarum TO1000、TO1001、TO1002及びTO1003株は特許公開中であり、(独)製品評価技術基盤機構に特許株として寄託されている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026815
カテゴリ 飼料用作物 水田 評価法

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