放牧牛に対する排卵同期化処理と早期妊娠診断を組み合わせた繁殖プログラム

タイトル 放牧牛に対する排卵同期化処理と早期妊娠診断を組み合わせた繁殖プログラム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2009~2011
研究担当者 後藤裕司
手島茂樹
木戸恭子
発行年度 2012
要約 排卵同期化処理と早期妊娠診断を組み合わせた繁殖プログラムを用いた放牧牛の繁殖管理は、集畜など放牧牛の繁殖管理に関わる労力を軽減させ、一定期間内に牛群の妊娠率を高く確保できる。
キーワード 放牧、繁殖、排卵同期化、人工授精、妊娠診断
背景・ねらい 公共牧場の利用率向上を図るためには、付加価値の高い子牛生産を目的とした人工授精、胚移植による農家ニーズの高い繁殖管理が必要である。しかしながら、日常的に繁殖管理を行うには放牧牛の発情発見、集畜などの作業負担が大きいため、簡易に行える繁殖プログラムを開発する必要がある。そこで、排卵同期化処理と早期妊娠診断を組み合わせた短期間に効率的に受胎を確保する繁殖プログラムを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本プログラムは、放牧牛に対して腟内留置型プロジェステロン製剤(CIDR)を併用する排卵同期化処理法により、プロスタグランジン製剤(PG)を投与72時間後に性腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤(GnRH)を投与し、定時人工授精(TAI)を実施する繁殖プログラムである(図1)。TAI後26日目に超音波診断装置により早期妊娠診断(妊娠腔の確認)を行う。受胎が確認されなかった牛に対してはGnRHを投与し、TAI後32日目に妊娠診断(胎子の確認)を行う。ここでも受胎が確認されなかった牛に対してはPGを投与し、72時間後に2回目のTAI を実施する。
  2. 本法は、通常より早期に妊娠診断を行い、平行して受胎が確認されなかった牛に対して排卵同期化処理を行うことにより35日で2回のTAIが実施できる(図1)。そのため、毎日の発情観察等の作業が必要なくなり、2回目のTAIまでに必要な放牧牛の集畜回数は6回のみである。
  3. 放牧14頭規模で90日間の放牧期間中に繁殖プログラム(繁殖プログラム区)と一般的な発情観察による繁殖管理方法(発情発見区)を比較すると、受胎成績に差はなく(表1)、繁殖管理に関わる総作業時間およびそのコストは繁殖プログラム区において軽減できる(表2)。
  4. 繁殖プログラムを放牧条件下の黒毛和種育成牛(24頭)・経産牛(27頭)、ホルスタイン種育成牛(20頭)に対して実証すると2回目の受胎率が高い傾向にあり、供試した全ての牛群において2回のTAIによる本プログラムの妊娠率は8割以上となり、現状の公共牧場より高い妊娠率が確保できる(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:公共牧場等の繁殖管理者。
  2. 普及予定地域・普及予定面積等:放牧を実施し、その放牧期間中に人工授精を実施している全国の公共牧場、約360ヵ所。
  3. その他:本法を実施する際には、薬剤投与を獣医師に依頼する必要がある。本法は、長野県の東信農業共済組合の獣医と協力して、地元農家の繁殖管理にも導入実施されている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026812
カテゴリ コスト 繁殖性改善 薬剤

この記事は