チャの新害虫チャトゲコナジラミの発生状況に対応した戦略的総合対策マニュアル

タイトル チャの新害虫チャトゲコナジラミの発生状況に対応した戦略的総合対策マニュアル
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究課題名
研究期間 2009~2012
研究担当者 佐藤安志
上杉龍士
笠井 敦
吉安 裕
中尾史郎
山下幸司
上宮健吉
西東 力
竹若与志一
忠谷浩司
宮本大輔
屋嘉比昌彦
野村茂広
森 伸幸
森井 均
発行年度 2012
要約 侵入害虫チャトゲコナジラミの防除では、分布拡大と発生状況に応じて、黄色粘着トラップによる発生予察、マシン油乳剤・選択性殺虫剤等の効率的利用、整剪枝、有力天敵シルベストリコバチの保護活用等を合理的に組み合せた戦略的な対策が有効である。
キーワード チャトゲコナジラミ、侵入害虫、新害虫、総合防除、シルベストリコバチ
背景・ねらい チャの新害虫チャトゲコナジラミAleurocanthus camelliae Kanmiya & Kasaiは、国内で新種記載された侵入害虫で、幼虫が葉裏に寄生し、すす症を誘発させて樹勢を低下させるほか、甚発した成虫が茶園を舞って摘採作業等の著しい障害となる。本種は、現在、我が国の茶生産地に広く分布を拡大し、甚大な被害を及ぼしている。そこで、本種の生理・生態特性を解明し、効果的な防除法を開発するとともに、発生状況に応じた戦略的な総合防除体系を構築し、普及・指導機関や生産者等への普及を図る。
成果の内容・特徴
  1. チャトゲコナジラミは、我が国の主要茶産地では年に3~4回発生する。成虫は飛翔や気流に乗って分散するほか、摘採葉の運搬やチャ苗への随伴等、人為的にも分布を拡大する。未発生地域においては、苗導入時の本種寄生有無の調査が特に重要である。
  2. 未発生地域や未侵入の茶園では、モニター調査による侵入警戒が重要である。本種成虫は黄色に極めて強く誘引されるため、侵入モニター調査には、極低密度下でも成虫を効率的に誘引・捕獲できる黄色粘着トラップの利用が有効である(図1)。
  3. 本種の侵入が認められた場合、「チャトゲコナジラミ防除の基本方針」に則った対策を講じ、発生状況に応じた適切な対応をとる(図2)。
  4. 発生が一部の圃場に限定される「侵入直後」(図1)では、深刈り剪枝等による寄生葉の完全除去と発生園・隣接園への薬剤散布により、地域での根絶を目指す(図2)。越冬期防除のためのマシン油乳剤や若齢幼虫を対象とした登録薬剤を利用して防除に努める。
  5. 初発園の周辺で発生が確認された場合、その地域での根絶は困難と判断し、「密度上昇期」(図1)の対策をとる。黄色粘着トラップ等を使って発生程度と分布を把握し、地域一斉防除を検討する(図2)。
  6. 発生密度が高く、すす症が確認される「多発期」(図1)では、すそ刈り等で薬剤の到達性を高めて防除効果の向上を図るほか、密度が極めて高い場合には、深刈り剪枝等の物理的手段の利用も検討する(図2)。
  7. すす症が治まったり、幼虫数が25頭 /葉以下に落ち着いた「低密度収束・安定期」(図1)では、天敵の維持・温存に配慮した防除体系をとる(図2)。有力天敵であるシルベストリコバチに対する悪影響が少ない選択性殺虫剤やマシン油乳剤等を使った天敵温存型の防除体系では、チャトゲコナジラミの発生を低密度に抑えることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:普及・指導機関、茶生産者等。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の茶生産都府県の茶栽培地域(46,800ha)。本種の発生地域における防除指導や防除等に利活用される。
  3. その他:本種は27都府県で既発生(2013年3月現在)。作成・配布したチャトゲコナジラミ防除マニュアルは、農水省サイトでも公開中。 (2013年3月現在)
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026806
カテゴリ 害虫 防除 薬剤

この記事は