ペチュニアの覆輪形成には順方向配列のCHSAに対する転写後抑制が関与する

タイトル ペチュニアの覆輪形成には順方向配列のCHSAに対する転写後抑制が関与する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究課題名
研究期間 2007~2012
研究担当者 中山真義
森田裕將
斎藤涼子
伴 雄介
谷川奈津
朽津和幸
安藤敏夫
吉川 学
土生芳樹
小関良宏
発行年度 2012
要約 ペチュニアの覆輪品種のゲノムには、花弁で機能する2つのカルコン合成酵素遺伝子(CHSA)が順方向に配列した構造が存在する。これらの遺伝子が部位特異的な転写後抑制を受けることで、アントシアニン色素の合成が阻害された白色組織が形成される。
キーワード アントシアニン、siRNA、カルコン合成酵素、転写後抑制、ペチュニア
背景・ねらい 花の模様は商品価値の一つである。ペチュニアには花弁の外縁組織が白色になる覆輪模様をもつ品種がある(図1)。これまでに、この白色組織は、花弁におけるアントシアニン色素の生合成の初期段階を触媒するカルコン合成酵素遺伝子(CHSA)のmRNA量の減少によるアントシアニンの生合成不全によって形成されることを明らかにしている。模様を制御する技術の開発に資するために、模様の形成機構を明らかにする。本研究では、覆輪品種のCHSAのゲノム構造を明らかにするとともに、白色組織におけるCHSAのmRNAの発現抑制機構を解析する。
成果の内容・特徴
  1. 全てのペチュニアの覆輪品種にはCHSA1CHSA2というエキソン部位の相同性の高い2つのCHSAが存在する(図2)。これらの遺伝子は順方向に配列して存在している。1種類のCHSAのみを持つ非覆輪品種と2種類のCHSAを持つ覆輪品種との交配後代においては、覆輪形質を発現する個体は全てこの構造を有している。CHSA1CHSA2による順方向配列構造は、覆輪形質の発現に必要な因子と考えられる。
  2. 外縁の白色組織のCHSA1CHSA2のmRNAの蓄積量は、内部の着色組織に比べて著しく低下している(図3)。一方でこれらのCHSAのpre-mRNAには、部位による発現量の違いは認められない。CHSAのmRNAの部位特異的な蓄積量の違いは、転写後に発現する。
  3. CHSAのmRNAと相同性を持つsiRNAは、白色組織において部位特異的に検出される(図3)。このsiRNAの大部分は、転写後抑制に関与する21nt型である。白色組織においては、siRNAを介した転写産物の分解機構の作用によって、CHSAのmRNAの蓄積量が著しく減少する。
  4. CHSAのsiRNAは、第2エキソンのセンス鎖およびアンチセンス鎖の広い領域に由来する(図4)。白色組織において機能している転写後抑制には、RNA依存性RNAポリメラーゼによって合成される二重鎖RNAが関与している。
  5. イントロン部位の配列の特徴から、CHSA1CHSA2はペチュニアの野生種のPetunia integrifoliaあるいはP. inflataに由来する。CHSA1CHSA2による順方向配列構造は、それぞれの遺伝子を含む染色体間での再構成によって形成されたと推定される。
成果の活用面・留意点
  1. これまで逆方向配列構造を持つ遺伝子の転写後抑制への関与が報告されている。今回は、順方向配列構造を取る遺伝子が転写後抑制に関与することの初めての報告である。
  2. ペチュニアの星型模様花弁の白色組織でも同様な機構が認められる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026780
カテゴリ 品種 ペチュニア

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