キクの花成およびFT遺伝子発現における暗期中断の分光感度

タイトル キクの花成およびFT遺伝子発現における暗期中断の分光感度
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究課題名
研究期間 2009~2012
研究担当者 住友克彦
久松 完
中山真義
樋口洋平
小田 篤
青木 献
宮前治加
石渡正紀
山田 真
発行年度 2012
要約 キクの暗期中断による花成抑制およびFT遺伝子の発現抑制における分光感度はフィトクロムのピーク660nmより短波長側の596、639nmで高い。
キーワード 花成、暗期中断、FT、フィトクロム
背景・ねらい 近年キクの暗期中断用の光源として蛍光灯や発光ダイオード(LED)の利用が進みつつあるが、新光源を導入する際にはキクの暗期中断による花成抑制に有効な波長域を明らかにし、光源選択の際に活用することが望ましい。そこで、暗期中断時の光質が花成反応ならびにフロリゲン様遺伝子CmFTL3の発現におよぼす影響を調査する。
成果の内容・特徴
  1. 「セイローザ」において、UV-Aから赤色光の波長域について、カラー蛍光灯による暗期中断では、黄、橙および赤色光で強い花成抑制効果がみられる(表1)。緑~遠赤色光の波長域についてLEDを用いて詳細に調査した結果、ピーク波長596および639nmのLEDでピーク波長660nmのLEDに比べて花成抑制効果が高く、遠赤色光ピーク波長740nmの遠赤色LEDでは無処理とほとんど変わらない(表2)。夏秋ギク品種「精雲」および「岩の白扇」についても、ピーク波長660nmのLEDに比べ、ピーク波長595nmのLEDで花成抑制効果が高い(データ省略)。
  2. 赤色光の暗期中断による花成抑制は、遠赤色光によって打ち消される(表3)。
  3. 以上より、暗期中断による花成抑制の分光感度は光受容体フィトクロムの赤色光吸収型吸収スペクトルとほぼ一致する。さらに遠赤色光による赤色光の効果の打ち消しがみられることから、暗期中断による花成抑制はフィトクロムを介した反応であると考えられる。
  4. フィトクロムの吸収スペクトルのピークは660nm付近にあるとされるが、暗期中断による花成抑制効果は、ピーク波長660nmのLEDより短波長側のピーク波長596および639nmのLEDで高い。この原因として、フィトクロム全体における遠赤色光吸収型フィトクロムの割合(フィトクロム平衡)がピーク波長660nmのLEDの0.88に比べ、ピーク波長596および639nmのLEDでは、それぞれ0.91および0.89と高いことが考えられる。また、葉抽出液の吸光が660nmで高い(データ省略)ことから、クロロフィルなどの葉中の色素による遮蔽効果も考えられる。
  5. 葉におけるCmFTL3の発現は花成抑制程度に対応して減少し、ピーク波長596、639および660nmのLEDによる暗期中断で低い(図1)。暗期中断によるCmFTL3発現抑制の分光感度はフィトクロムの吸収スペクトルとほぼ一致することから、暗期中断による花成抑制において、フィトクロムを介したCmFTL3発現抑制の関与が示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. キクの暗期中断用の光源を選ぶ際の基礎知見となる。
  2. 試験に用いた照明器具は全て試作品である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026777
カテゴリ カラー きく 品種

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