休眠状態の異なるニホンナシ葉芽における遺伝子発現の網羅的解析

タイトル 休眠状態の異なるニホンナシ葉芽における遺伝子発現の網羅的解析
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2008~2012
研究担当者 西谷千佳子
清水徳朗
齋藤寿広
山本俊哉
森口卓哉
発行年度 2012
要約 ニホンナシ葉芽における自発休眠期と自発休眠覚醒後の他発休眠期での遺伝子発現をマイクロアレイ法によって網羅的に解析すると、加水分解酵素遺伝子群や転写因子群などの遺伝子発現が異なっている。
キーワード ニホンナシ、マイクロアレイ、休眠
背景・ねらい ニホンナシを含む落葉果樹の葉芽、花芽は、冬季に休眠し(自発休眠)、ある一定量の低温に遭遇することで自発休眠状態は終了し(自発休眠覚醒)、他発休眠へと移行する。しかし、自発休眠期に十分な低温が確保できない場合、花芽が正常に開花しなかったり、葉芽の発芽が不揃いとなる『眠り症』となる。現在、シアナミド剤が自発休眠打破剤として登録されているが、薬剤を用いない休眠打破技術の開発、低温要求量の少ない品種の育成が求められている。そこで本課題では、ニホンナシの自発休眠期と自発休眠覚醒後の他発休眠期の葉芽を用いて網羅的な遺伝子発現解析(マイクロアレイ法)を行うことで、休眠打破のための新技術の開発や、低温要求量の少ない品種を育成するための基盤的情報を得る。
成果の内容・特徴
  1. 低温要求量の多いニホンナシ「幸水」の自発休眠期と他発休眠期の葉芽における遺伝子発現について、マイクロアレイ法で比較すると、自発休眠期の葉芽では、他発休眠期の葉芽に比べて加水分解酵素遺伝子群および転移酵素遺伝子群の遺伝子発現量が有意に高い(表1)。
  2. 他発休眠期の「幸水」の葉芽では、転写因子関連の遺伝子群の発現量が自発休眠期よりも有意に多い(表1)。
  3. 「幸水」の葉芽で自発休眠期に比べて他発休眠期に発現量が10倍以上に上昇する転写因子は、NAC(NAM、 ATAF、and CUC)、PRR(pseudo-response regulator)遺伝子の2遺伝子である。一方、「幸水」と比較して低温要求量の少ない「横山ナシ」の葉芽ではこれらの2つの遺伝子発現量は「幸水」に比べて低い(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 加水分解酵素活性、転移酵素活性および、NACPRR遺伝子の発現はナシ葉芽の休眠状態のモニタリングに利用できる可能性がある。
  2. NACおよびPRR遺伝子の塩基配列情報は公的データベースに登録済み(アクセション番号FS999991、FS999993)である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026765
カテゴリ データベース 品種 モニタリング 薬剤

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