蒸気処理による作物収穫後地表面の雑草種子駆除技術

タイトル 蒸気処理による作物収穫後地表面の雑草種子駆除技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2010~2012
研究担当者 浅井元朗
西村愛子
黒川俊二
澁谷知子
中村浩也
松井良共
高山英行
酒井長雄
青木政晴
土屋 学
原田良太
中沢克明
石田義樹
木田揚一
遠藤征馬
船生岳人
発行年度 2012
要約 自走式蒸気除草機により加熱した水蒸気を作物収穫後の圃場地表面に噴射し、最高温度を約95℃まで上昇させることで、地表面の雑草種子(雑草イネ、ネズミムギ、帰化アサガオ類)を90%以上死滅または硬実打破させ、次作の出芽数を大幅に減少させる。
キーワード 自走式蒸気除草機、過熱蒸気、種子死滅、硬実打破、収穫後圃場
背景・ねらい 水稲、ムギ類、ダイズなど土地利用作物において近年、雑草イネ、ネズミムギ、帰化アサガオ類など、有効な除草剤の登録がない難防除雑草がまん延し、その被害が問題となっており、防除技術の確立が求められている。
これら雑草の多発圃場において作物収穫後・不耕起状態の非作付期間に、地表面の当年産種子を駆除できれば、埋土種子密度が大幅に減少し、慣行の防除技術で安定生産が可能な圃場に修復することが期待される。そこで、地表面の雑草種子の駆除を目的とした、土地利用型農業に利用可能な自走式の蒸気除草機を開発し、その効果を検証する。
成果の内容・特徴
  1. 開発した蒸気除草機JJ-5.0の基本仕様は、圃場運搬機に水タンク(容量300l)とボイラー(伝熱面積5.0m3)を搭載し、運搬機後部に連結した鉄製のフレーム内側を耐熱ゴムで仕切り気密性を高めた内部に、過熱水蒸気(最高300℃)をパイプ式のインジェクタから噴出し、圃場地表面に熱伝導する(図1)。
  2. JJ-5.0を0.7km/hで走行したフレーム内の地表面最高温度は約95℃まで上昇し、50℃以上が約30秒継続する(図2)。加熱は地表面に限られ、土中深さ2cmの昇温はわずかである(図2)。走行速度を増加させると、最高温度は低下、持続時間も減少する。
  3. 水稲収穫後上述した蒸気処理条件で、圃場地表面に設置した雑草イネ種子はその吸水状態、地表面収穫残渣の有無に関わらず、99%以上が死滅する(表1)。蒸気処理した圃場では、代かき前および水稲栽培期間中の雑草イネ出芽数は無処理対照区の数分の1~1/10に減少する(表1)。
  4. コムギ収穫後不耕起で、地表面に当年産ネズミムギ種子が存在する条件において同様の仕様で蒸気処理すると、収穫残渣の有無に関わらず、後作ダイズ作期間、コムギ作期間とも、ネズミムギ出芽数が無処理対照区の10%程度に減少する(図3)。
  5. ダイズ収穫後圃場に同様の仕様で蒸気処理すると、地表面に設置したマメアサガオ種子の99%以上が果皮の有無にかかわらず硬実打破される(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. 現行機JJ-5.0の搭載ボイラーは簡易ボイラー(伝熱面積5.0㎡)であり、ボイラー取扱作業資格は不要である。現行の仕様では、灯油を50-60l/10a、水を600l/10a消費し、この他、運搬機の軽油、発電機のガソリンを要する。10aあたりの作業時間は2時間強である(休憩、洗浄等を除く)。
  2. 雑草種子の特性、圃場の物理的特性により種子駆除効果は変動するが、地温5℃以上、通常に処理走行のできる土壌水分40%以下の条件で上述の効果が確認されている。
  3. JJ-5.0は2013年1月時点では市販されておらず、主に試験目的の貸出が行われている。取扱いについてはメーカー資料を参照する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026729
カテゴリ あさがお 雑草 雑草イネ 除草機 除草剤 水稲 大豆 難防除雑草 防除

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