Stvb遺伝子座によるイネ縞葉枯病抵抗性を判別する分子マーカー

タイトル Stvb遺伝子座によるイネ縞葉枯病抵抗性を判別する分子マーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2010~2012
研究担当者 早野由里子
林 敬子
前田英郎
発行年度 2012
要約 インド型イネModanに由来するイネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvb-iの配列比較により開発されたDNAマーカーST71は、抵抗性遺伝資源の由来にかかわらずStvb遺伝子座(StvbStvb-iおよびその他の抵抗性対立遺伝子)による縞葉枯病抵抗性の有無を判別できる。
キーワード イネ、マーカー育種、縞葉枯病、抵抗性遺伝子、Stvb座、DNAマーカー
背景・ねらい 作物の病害抵抗性の利用は、環境負荷低減を実現する効果の高い防除法である。近年媒介虫の海外飛来および生息地域の拡大に伴い、ヒメトビウンカにより媒介されるウイルス病であるイネ縞葉枯病の発生は増加傾向にある。本病に対してはインド型イネModanの Stvb-i遺伝子に由来する抵抗性を保有する水稲品種が数多く育成されている。飼料イネや新規需要米等の品種育成では、本来の目的形質の導入と共に、Modan以外の品種・系統に由来するStvb遺伝子座の縞葉枯病抵抗性が導入されている場合がある。Modan由来のStvb-iについては、育種選抜用高精度マーカーが開発・利用されている。しかし、その他由来の異なるStvb遺伝子座の縞葉枯病抵抗性遺伝子を判別できるDNAマーカーはなく、ウイルス媒介虫を用いた生物検定に頼らざるを得ない。Modan由来のStvb-iのみならず、他のインド型稲や日本陸稲のStvb遺伝子座の縞葉枯病抵抗性を判別できる汎用性のある選抜マーカーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. イネ縞葉枯病抵抗性の主働遺伝子はStvb座にあり、インド型イネModanの遺伝子Stvb-iはその対立遺伝子であり、単独で抵抗性を発現する。Stvb-iの第3イントロンに存在する61bp配列は、感受性イネにおいては並列に2つ存在する(図1)。
  2. この61bp配列をPCR反応で検出できるように設計した共優性マーカーST71は、抵抗性イネから327bp断片(Modan型遺伝子型=Mo)、感受性イネから388bp断片(感受性型=J)、F1個体から両断片を増幅する(図2)。
  3. マーカーST71による遺伝子型は、供試したOryza sativa(インド型およびジャポニカ型を含む)とOryza officinalisの全系統において、縞葉枯病生物検定による抵抗性反応と一致する(表1)。
  4. 以上、マーカーST71は、縞葉枯病抵抗性遺伝子座Stvbによる抵抗性の判別を数時間で可能とし、約30日を要する生物検定の作業労力および施設を大幅に削減する。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象;全国のイネの育成機関
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数など:既存マーカーの水稲育種での普及実績(公設試験研究機関13件、独法6件、民間1件)以上を見込む。
  3. その他:水稲に限らず、飼料イネなどに導入されている来歴不明の抵抗性について、Stvb遺伝子座の縞葉枯病抵抗性の推定およびその選抜にも利用可能。
  4. 本マーカーおよび本マーカーを用いた対立遺伝子の判別および品種育成選抜法については、特許申請中(特願2011-278063)。
  5. 供試済品種およびPCR検出など技術情報については上記連絡先にて対応する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026726
カテゴリ 育種 遺伝資源 環境負荷低減 縞葉枯病 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 DNAマーカー ヒメトビウンカ 品種 病害抵抗性 防除

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