ピーマンモザイク病を予防する生物農薬「弱毒ウイルスL3-163株」

タイトル ピーマンモザイク病を予防する生物農薬「弱毒ウイルスL3-163株」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2008~2012
研究担当者 津田新哉
小粥理絵
神田絢美
久保田健嗣
冨高保弘
安原壽雄
梁 宝成
片桐伸行
小坂能尚
津田和久
東山みや子
発行年度 2012
要約 ピーマン・トウガラシ類のモザイク病を予防する弱毒ウイルスL3-163株は、臭化メチル剤が全廃された後も収量を損なうことなくピーマン・トウガラシ類を安定生産できる生物農薬である。
キーワード 弱毒ウイルス、ピーマン・トウガラシ類、臭化メチル、PMMoV、生物農薬
背景・ねらい ピーマン・トウガラシ類のCapsicum属植物にはトバモウイルスの感染に対して過敏感反応により抵抗性を示すL遺伝子群(L1~L4)が知られている。しかしながら、何れの抵抗性遺伝子も栽培品種に導入後一時的には効果を示すが、ウイルス汚染の著しい土壌に接すると短期間でその抵抗性機能を打破する新型ウイルス系統がしばしば発生する。本研究では、土壌くん蒸用臭化メチル剤の代替技術として、難防除病害であるトウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV)によるモザイク病を防ぐ弱毒ウイルスを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 茨城県ピーマン農家における半促成栽培(2009年3月~6月)、抑制栽培(同年8月~12月)で、弱毒ウイルスL3-163株を接種したピーマンでは健全ピーマンと比較して等級ごとの出荷量に有意な差はみられない(図1)。
  2. 強毒ウイルスで汚染した摘果ハサミを使って管理作業を行った場合、無処理ピーマン(4品種)ではほぼ100%の株が発病するが、弱毒ウイルス接種ピーマン株では発病がほとんど認められない(表1)。
  3. 2009~2010年の二カ年におけるピーマン産地での薬効薬害実証試験において、L3-163株は最低防除価が83.3、最高で100と高い効果を示している。栽培期間中に一過性の軽微な退緑斑(薬害)を稀に生じるが、実用性に支障はない(表2)。
  4. 本弱毒ウイルスは、PMMoVによるモザイク病を予防する植物ウイルスワクチンとして2012年10月24日付けで生物農薬登録されている(第23136号 殺菌剤、写真1)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:ピーマン・トウガラシ類生産者、産地の普及センターおよびJA
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国のモザイク病が発生しているピーマン・トウガラシ類生産地域(参考:2010年度全国延防除面積166ha)
  3. その他:2012年までに、北海道、茨城県、高知県、大分県、鹿児島県で実証試験を実施している。ピーマン生産農家圃場で本技術を用いると、鹿児島県では所得率比較で発病圃場の約18%増(無発病圃場の約2%減)となる。栽培体系における利用場面および経費試算等は、茨城県または鹿児島県の「脱臭化メチル栽培マニュアル」を参考にする。
  4. 本剤は、モザイク病が発生した圃場でピーマン・トウガラシ類を続けて栽培する際に予防薬として利用する。利用の際は「植物ウイルスワクチン『グリーンペパーPM』利用マニュアル」を参照し、接種株数や苗のステージ等に応じた接種方法を選択する。
  5. ピーマンモザイク病予防の弱毒ウイルスは、中央農業総合研究センター専用メールアドレスに問い合わせることで入手できる。製剤は2ml(約170株接種用)、6ml(約500株接種用)の二種類がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026721
カテゴリ 栽培体系 出荷調整 植物ウイルス 抵抗性 抵抗性遺伝子 とうがらし 土壌くん蒸 農薬 品種 ピーマン 防除

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