窒素固定エンドファイト接種によるサツマイモの生育促進

タイトル 窒素固定エンドファイト接種によるサツマイモの生育促進
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2009~2012
研究担当者 大脇良成
塔野岡(寺門)純子
藤原伸介
発行年度 2012
要約 サツマイモ体内には、窒素固定活性を持つBradyrhizobium属、Pseudomonas属、Paenibacillus属エンドファイトが生息する。サツマイモから分離したBradyrhizobium属細菌の接種により、サツマイモの生育促進ならびに植物体内での窒素固定が認められる。
キーワード サツマイモ、窒素固定、エンドファイト、Bradyrhizobium、生育促進
背景・ねらい 植物体内に生息する微生物はエンドファイトと呼ばれ、その中には窒素固定能を持つ細菌がいることが知られている。これらの窒素固定エンドファイトは宿主特異性が低く、広範な作物の窒素栄養の改善に利用できる可能性がある。これまで、サツマイモではエンドファイトによる窒素固定の寄与が、全窒素集積量の最大40%程度であることを報告し、サツマイモ体内から非培養法により多様な窒素固定エンドファイトを検出した。そこで本研究では、サツマイモ体内から窒素固定活性を持つ細菌を分離し、窒素固定能や植物生育促進能を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 表面殺菌したサツマイモの塊根および茎から、窒素固定遺伝子(nifH)の有無を指標に、培養法により窒素固定エンドファイトを分離できる。これらの細菌はBradyrhizobium属(AT1株)、Pseudomonas属(T16株)、Paenibacillus属(AS2株)である(図1)。
  2. これらのエンドファイトの単生条件での窒素固定能は、半流動リンゴ酸培地を用いたアセチレン還元法により確認できる。また、Bradyrhizobium sp. AT1株は、サツマイモ塊根の水抽出液中で窒素固定活性を発現できる(表1)。
  3. 分離したBradyrhizobium sp. AT1株を、無菌的に増殖したサツマイモ(品種:ベニアズマ)の根に接種し、改変Hoagland水耕液を添加したバーミキュライト培地を用いて、人工気象器内で約8週間栽培すると、植物各部位の新鮮重が菌非接種のサツマイモに比べて有意に増加する(図2)。
  4. 窒素固定植物では、培地から吸収した重窒素が空中窒素の固定により希釈されることを利用し、窒素固定の寄与を評価できる。Bradyrhizobium sp. AT1株を接種したサツマイモでは、非接種のサツマイモに比べて植物各部位の重窒素存在比が低下することから、植物体内でのエンドファイト窒素固定が確認される(図2)。この生育条件での植物各部位の窒素固定寄与率は、10%~14%である。
成果の活用面・留意点
  1. 窒素固定エンドファイトを利用した作物生育促進技術の開発に活用できる。
  2. エンドファイトを分離したサツマイモ品種および部位は、アヤムラサキ塊根(AT1株)、アヤムラサキ茎(AS2株)、べニアズマ塊根(T16株)である。
  3. T16株およびAS2株のサツマイモへの接種効果は未確認である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026720
カテゴリ かんしょ 栽培技術 品種 りんご

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