収益性と環境影響の関連性を農場レベルで評価できる肉用牛経営計画モデル

タイトル 収益性と環境影響の関連性を農場レベルで評価できる肉用牛経営計画モデル
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2010~2012
研究担当者 千田雅之
荻野暁史
大石 亘
発行年度 2012
要約 肉用牛繁殖経営において、水田の飼料利用による所得と環境影響の評価が可能な営農計画モデルである。各種の水田の飼料利用に対応して、最適な所得と環境影響の関連性を農場レベルで評価できる。
キーワード 環境影響、LCA、肉用牛、飼料イネ、営農計画モデル
背景・ねらい 温暖化防止や省エネが社会目標となる中で、農業経営においても収益性のみならず環境への影響に配慮した営農活動が要請される。そこで、新技術や代替的な作付体系の導入による収益性と環境影響の関連性を、農場レベルで評価できる手法を開発する。本研究成果では、肉用牛繁殖(和子牛生産)経営を対象に、収益性と温室効果ガス発生量等の関連性を評価できる線形計画モデルを構築し、水田飼料利用の収益性と環境影響を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 肉用牛繁殖経営における飼料選択による所得と環境影響(温暖化、酸性化、富栄養化、エネルギー消費)の評価が同時に可能な営農計画モデルである。選択可能な飼料として、輸入飼料、牧草サイレージ生産利用、耕種農家の栽培する飼料イネの収穫利用(早生、晩生の2種類)、広域流通の稲発酵粗飼料(イネWCS)の購入利用のプロセスを設けている。各飼料の生産プロセスに収益性に関わる技術係数とともに、LCA手法により得られた環境負荷係数を加えている。また、牛の消化管内発酵に伴う温室効果ガス発生量計算のため乾物摂取量のプロセスを設けている(表1)。
  2. 上記計画モデルを用い労働力2人の家族経営において、各種飼料利用により所得を最大化する飼養規模、所得、労働時間、飼料自給率、環境影響を試算すると、以下の点が数量的に明らかにされる(表2)。
  3. 輸入飼料依存(シナリオ1)と比べて、イネWCSの購入利用(シナリオ2)により所得は増加し飼料自給率も向上する。しかし、イネWCSは生産・流通過程で温室効果ガスの発生量が多いこと、蛋白成分が低いため家畜の栄養要求量を満たす乾物摂取量が増え、消化管内発酵によるメタン発生量が増すことから、温暖化影響はシナリオ1より増加する。一方、飼料イネを牧草収穫機で畜産農家自ら収穫調製し利用する場合(シナリオ3)、その作業時間が増えるため飼養頭数を減らすことになるが、所得は増加し温暖化の影響は減少する。
  4. イタリアンライグラス等の牧草は、生育過程でメタン発生量が少ないうえ、栄養バランスが良く乾物給与量を減らせるため、牧草を生産利用するシナリオ4は、温暖化影響はシナリオ1より減少する。飼料イネの収穫と牧草生産の両方に取り組む場合(シナリオ5)、作業時期が異なるため、国産飼料の生産利用面積が拡大し所得や飼料自給率の向上が可能となる。また、酸性化や富栄養化への影響、エネルギー消費量は、シナリオ1より減少する。
成果の活用面・留意点
  1. 購入飼料価格や国産飼料の生産コスト等が変化した場合の営農計画等に活用できる。
  2. 制約条件に温室効果ガス排出量等の制約式を設けると、肉用牛繁殖経営において、環境負荷制約時の営農計画に活用できる。
  3. 表1の利益係数及び温暖化等の環境負荷係数は、茨城県の営農事例等より得られた原単位をもとにLCA手法により計算した係数である。詳細は発表論文を参照。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026715
カテゴリ イタリアンライグラス 経営管理 コスト 収穫機 省エネ・低コスト化 水田 肉牛 繁殖性改善

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