牧草と飼料イネを組み合わせた水田通年放牧モデル

タイトル 牧草と飼料イネを組み合わせた水田通年放牧モデル
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2012
研究担当者 千田雅之
小西美佐子
亀山健一郎
中村義男
花房泰子
北川美弥
松山裕城
的場和弘
山本嘉人
平野 清
発行年度 2012
要約 牧草と飼料イネを組み合わせ、1頭当たり約33aの水田で、妊娠牛の約7か月間の放牧が通年可能なモデルである。このモデル導入による繁殖成績は良好で、肉用牛経営では飼養管理の省力化と飼養頭数の拡大がはかれる。
キーワード 水田、飼料イネ、稲発酵粗飼料、肉用牛、通年放牧
背景・ねらい 水田を有効活用し家畜飼養の省力化をはかる技術として放牧が普及しつつある。しかし、牧草のみに依存した放牧では、晩秋~初春は畜舎内での飼養となるため規模拡大に限界がある。そこで、水田で栽培可能な牧草と飼料イネを組み合わせて、妊娠牛の約7か月間の放牧飼養が通年可能なモデルを開発し、家畜生産へ及ぼす影響および経営への導入効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 春夏はイタリアンライグラス(4~6月)やバヒアグラス(6~10月)などの牧草、秋は飼料イネ、冬は稲発酵粗飼料(イネWCS)を用いて、妊娠確認後~分娩前の繁殖牛(妊娠牛)を約7か月間、放牧飼養可能なモデルである(図1)。
  2. 繁殖牛100頭規模の肉用牛経営において、通年放牧に必要な水田面積は32.5ha(1頭あたり32.5a)である。内訳は、4月~10月放牧用の牧草地15.4ha、11月~12月放牧用の飼料イネ2.9ha、1月~3月放牧用のWCS用イネ4.9ha、分娩前~妊娠確認まで舎飼いに必要なWCS用イネ9.3haである(表1)。
  3. 妊娠牛の体重は放牧開始後1か月間は減少するが、7か月間の放牧継続により退牧時には平均60kg以上増加し栄養状態を向上させて退牧できる。この結果、通年放牧実証経営では、放牧後の繁殖牛の産子体重は約33kg、分娩間隔は2008年以降は365日を切り、子牛生産率は2009年を除き90%を超えるなど、繁殖成績は良好である(表2)。
  4. 実証経営では、飼料イネ栽培と放牧管理を耕種経営に委ねているが、通年放牧導入後、妊娠牛の給餌や排せつ物処理作業が削減され、1頭あたり労働時間は放牧導入前の80時間から42時間に減少し、畜舎の増設や労働時間を増やすことなく、繁殖牛を51頭から85頭に増加でき、繁殖牛の飼料自給率は86%に向上することができた(表3)。放牧管理を担う耕種経営の飼料イネ栽培を除く農作業時間は約700時間であり、肉用牛経営が放牧管理を行った場合でも、省力効果は顕著である。
成果の活用面・留意点
  1. 水田の飼料利用可能な肉用牛繁殖経営への導入が期待される。
  2. 茨城県常総市の営農現場で、通年約50頭の繁殖牛の水田通年放牧を6年間継続する中で得られた情報(放牧延べ頭数約86,000日頭)に基づく。
  3. 耕畜連携により通年放牧を円滑に実施するためには、放牧に伴うリスクや作業分担、補助金等を考慮した運営が必要である。
  4. 夏季の熱射病や蛋白成分の低い飼料イネの放牧飼養に伴う有害植物摂取、肝蛭虫症など水田放牧に伴う事故リスクを考慮した飼養管理が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026714
カテゴリ イタリアンライグラス 規模拡大 経営管理 飼育技術 省力化 水田 肉牛 繁殖性改善

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