イネの開花しない突然変異の交雑抑制能力と既存品種へ導入した場合の影響

タイトル イネの開花しない突然変異の交雑抑制能力と既存品種へ導入した場合の影響
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2005~2011
研究担当者 大森伸之介
田淵宏朗
矢頭 治
吉田 均
発行年度 2012
要約 イネの突然変異superwoman1-cleistogamyによる開花しない性質は、自然交雑を効果的に抑制できる。また、DNAマーカーと連続戻し交配によってこの性質を既存のイネ品種に効率よく導入でき、その農業形質には大きな影響を与えない。
キーワード イネ、閉花受粉性、自然交雑、花粉飛散、DNAマーカー
背景・ねらい イネは極低頻度ではあるが花粉飛散を介して自然交雑するため、多様な性質を持つ品種群を同時に栽培する際にはこれを防ぐ的確な区分管理技術が求められる。イネの突然変異superwoman1-cleistogamy(spw1-cls)による開花せずに受粉する性質(閉花受粉性)は花粉を飛散させず、自然交雑を防ぐ手段として有望である。そこで本研究ではこの変異の実用性を明らかにするため、同変異の自然交雑を抑制する能力を評価する。また、同変異を既存品種に効率的に導入するためのDNAマーカーの開発およびこれを利用した準同質遺伝子系統の作出を行い、閉花受粉性が既存品種・系統の農業形質に与える影響を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 北陸研究センター(上越市)の水田でspw1-cls系統または原品種「台中65号」を花粉親、モチ品種「らいちょうもち」を種子親とした自然交雑試験を行うと、「台中65号」では自然交雑が起こるが、spw1-cls系統では自然交雑が起こらない(図1、表1)。
  2. spw1-cls変異の塩基置換部位を利用して作成したdCAPSマーカーによって、野生型、ヘテロ型、変異型の各遺伝子型を明確に判別できる(図2)。
  3. 飼料イネ品種「夢あおば」に上記のdCAPSマーカーを利用して連続戻し交配でspw1-cls変異を導入した準同質遺伝子系統の夢あおばcls(戻し交配回数2)を北陸研究センター水田で栽培すると、閉花受粉性を示す。また、その農業形質はspw1-cls系統よりも反復親品種「夢あおば」に近い。
  4. これらのことから、spw1-cls変異による閉花受粉性は実際の栽培において自然交雑を抑制する能力があると評価できる。また、同変異はdCAPSマーカーと連続戻し交配を利用して既存品種・系統の農業形質に大きな影響を与えることなく導入可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 閉花受粉性は花粉を外部に飛散させないことに加えて、外部からの花粉が穎花内に侵入することも防ぐことができるため、品種の純度を維持する目的にも利用できる。
  2. spw1-cls変異を付与した準同質遺伝子系統とその戻し交配の反復親品種との農業形質の差は、戻し交配の回数を増加することによってさらに小さくなると予想される。
  3. spw1-cls変異による閉花受粉性はそのメカニズムから、ある程度の低温環境下では開花すると推測されている。このため、この変異を持つ系統の栽培適地についての研究を進める必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026710
カテゴリ いちょう 管理技術 受粉 水田 DNAマーカー 品種

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