小明渠浅耕播種機を用いて生産費を43%削減する2年3作輪作体系

タイトル 小明渠浅耕播種機を用いて生産費を43%削減する2年3作輪作体系
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2012
研究担当者 佐々木豊
中西幸峰
渡辺輝夫
谷尾昌彦
建石邦夫
深見公一郎
増田欣也
発行年度 2012
要約 作溝・畦成形ユニットを装着した小明渠浅耕播種機による水稲-小麦-大豆の2年3作輪作体系では、慣行体系に比べて、作業時間を57%、生産物60kg当たり費用を43%削減できる。小明渠浅耕栽培で湿害を軽減できることで水稲乾田直播、小麦、大豆の収量は慣行と同等以上になる。
キーワード 小明渠浅耕播種、水稲乾田直播、小麦、大豆、生産費、労働時間
背景・ねらい 短時間の降水量が多く、圃場の滞水による湿害を受けやすい温暖地を対象に、大豆の湿害対策として小明渠作溝同時浅耕播種技術の作業体系を提案し(2004年度成果情報)、この栽培法を実用化するために、ロータリ播種機に装着する作溝・畦成形ユニットを市販化した(2010年度成果情報)。この播種機を麦類や水稲乾田直播にも適用させるための汎用利用技術を開発し、大規模営農に適用して、労働時間や生産コストの削減効果を明らかにするとともに、温暖地で導入するのに容易な2年3作輪作体系を構築する。
成果の内容・特徴
  1. 小明渠浅耕播種機は、市販ロータリシーダまたは播種機付き汎用ロータリに、3つの部品で構成される作溝・畦成形ユニットを装着することで、容易に構成できる(図1)。
  2. 2008年の統計値と比べて、水稲乾田直播の労働時間は8.7時間/10aで、移植の28.2時間に比べ約69%短縮できる。乾田直播と移植の組合せにより代掻き・田植えと乾田直播作業が分散され、水稲栽培面積を小麦・大豆作と同等にできる。小麦作では作業時間が32%短縮され、適期播種に繋がる。大豆では狭畦密植栽培を用いることにより中耕培土作業が省略され作業時間が28%短縮できる。以上の3作物を組み合わせた2年3作輪作体系において全経営面積を50haで想定した場合、作業時間は57%削減できる(図2)。
  3. 2012年の試験結果より、水稲乾田直播では苗立率が42%で、苗立数78本/㎡を確保することにより、収量は543kg/10aと慣行の移植栽培以上の収量を得られる。小麦では 55%の苗立率が得られ、湿害を軽減できることで、収量は496kg/10aと慣行の平畦栽培と同等以上になる。大豆では小明渠浅耕播種で苗立率が安定し、晩播の無中耕無培土・狭畦密植で313kg/10aになり、適期播種・中耕培土栽培と同等の収量を確保できる(表1)。
  4. 小明渠浅耕播種技術による水稲-小麦-大豆の2年3作輪作体系では、2007~2011年での5年間実証試験より生産物60kg当たりでは7,626円で、2008年度東海地域の生産物60kg当たり平均費用13,470円の43%削減となり、低コストな生産が可能になる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:暗渠未施工など排水性の劣る水田圃場のうち、圃場外の排水路機能がある圃場にて小麦・大豆などの水田輪作体系を実施する経営体で活用できる。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:関東・東海を中心に温暖地の水田地帯。移植水稲-小麦-大豆の輪作体系にて三重県で200~300ha普及、2011年国内60台稼働。
  3. その他:作溝・畦形成ユニットはジョーニシ(株)より市販化(受注生産)。松山(株)・播種専用ロータリシーダTBAまたは同社・汎用ロータリSXR10シリーズに適応する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026704
カテゴリ 乾田直播 経営管理 コスト 小麦 湿害 市販化 水田 水稲 大規模営農 大豆 低コスト 排水性 播種 輪作体系

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