キュウリの3種ウイルス同時検出のための多重RIPA法の改良

タイトル キュウリの3種ウイルス同時検出のための多重RIPA法の改良
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2010~2011
研究担当者 大崎秀樹
野見山孝司
石川浩一
発行年度 2011
要約 RIPA法の磨砕緩衝液組成を変えることにより、キュウリ3種ウイルス(CMV、MYSV、ZYMV)の検出感度が上がるとともに、多重RIPA法により同時検出可能となる。また、着色ラテックス2種の混合により、3種ウイルスの陽性反応の判別が容易になる。
キーワード キュウリ、CMV、MYSV、ZYMV、多重RIPA法
背景・ねらい キュウリのウイルス病には、ミナミキイロアザミウマが媒介する黄化えそ病(病原MYSV)やアブラムシが媒介するモザイク病(病原CMV・ZYMV)が知られている。現在、これらの診断には、病原遺伝子の検出による遺伝子診断法が主に用いられている。しかし、高額な機材および試薬が必要であり、またその操作も煩雑である。一方、血清学的診断法の1種であるRIPA(迅速免疫ろ紙検定)法は、検体を磨砕しガラス繊維ろ紙のストリップをその磨砕液に浸すという簡便な操作で、数分以内に診断が可能である。さらに、2種以上の抗ウイルス抗体を用いることで複数のウイルスを同時に検出できる(多重RIPA法)。しかし、ZYMV等のひも状ウイルス粒子はろ紙中での移動度が低く多重RIPA法に向かない。そこで多重RIPA法の磨砕緩衝液の組成等を改良し、キュウリのこれら3種ウイルスの同時検出を可能とする。
成果の内容・特徴
  1. 磨砕緩衝液の牛血清アルブミン(BSA)濃度を0.1%から0.2%に上げることにより、3種ウイルスのRIPA法での検出感度が2倍~8倍に向上し、より低濃度のウイルスを検出できる(表1)。また、ひも状ウイルスのZYMVに対するRIPAにおいて、0.1%ではストリップ下端から15mmまでしか陽性バンドが形成されないが、0.2%ではZYMV粒子のろ紙中での移動度が向上し35mmまで陽性バンドが形成され、ストリップ上部での検出が可能となる(図1)。
  2. 磨砕緩衝液のBSA濃度が0.1%の場合、多重RIPA法によるCMV、MYSV、ZYMVの同時検出は出来ないが(データ省略)、BSA濃度を0.2%に上げることにより同時検出が可能となる(図2)。
  3. 赤色と青色の着色ラテックスを混合して紫色として使用することにより、3種ウイルスの陽性反応の色による識別が可能となり、判別が容易に行える(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 多重RIPA法は現場において簡便かつ短時間で診断が行えるので、生産者・普及員等による感染株の診断、またウイルス種の判別が可能であり、その後の対策(媒介虫の防除、感染株の速やかな抜き取り等)が迅速に行える。
  2. 本多重RIPA法は、ストリップを初めに検体粗汁液に、次いで着色ラテックス液に浸す二段階法で行う(Tsuda et al. 1993参照)。
  3. 本成果はストリップや磨砕緩衝液等の検出キットを作製する者に有益な情報である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026599
カテゴリ 黄化えそ病 きゅうり 防除 ミナミキイロアザミウマ

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