タイトル |
加工用途に適する寒地向け高アミロース米新品種候補系統「北海315号」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2003~2011 |
研究担当者 |
松葉修一
清水博之
横上晴郁
黒木 慎
船附稚子
池ヶ谷智仁
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発行年度 |
2011 |
要約 |
「北海315号」は北海道での出穂期が“中生の早”に属する高アミロース系統である。米粉を利用したライスパスタ、クッキーなどの加工適性に優れ、加工用途の原料として有望である。
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キーワード |
イネ、高アミロース、米粉、ライスパスタ
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背景・ねらい |
わが国の食料自給率を向上に向け、より一層の米の消費拡大が求められている中で、非主食用米、特に米粉の利用拡大には期待が大きい。一般に、炊飯米には適さない高アミロース米も、米粉を利用した加工製品では、有用な適性を示す。そこで、北海道でも栽培可能な高アミロース米の育成を行うとともに、その優れた加工適性を示すことにより、新たな米の消費拡大を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲「北海315号」は、北陸以南向けの高アミロースのインド型多収品種「夢十色」に、北海道向けの酒米品種でやや高アミロースの「初雫」を2回交配した後代より、選抜・育成された高アミロース系統である(表1)。
- 育成地における出穂期および成熟期は、「きらら397」と比べ、それぞれ1日、4日遅い“中生の早”、“中生の中”に属する(表1)。
- 玄米収量は、「きらら397」「ななつぼし」よりも多い(表1)。
- 穂ばらみ期耐冷性は“強”で、「きらら397」「ななつぼし」よりも強い(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子は、“Pia、Pik”と推定され、いもち病圃場抵抗性は、葉いもちは“やや強”であり「きらら397」よりも優るが、穂いもちは“やや弱”であり「きらら397」と同程度である(表1)。
- Wx-a遺伝子を持つため、白米のアミロース含有率は約30%と高く、「きらら397」「ななつぼし」よりも、約10ポイント高い(表1)。
- 白米のタンパク質含有率は、「きらら397」「ななつぼし」より低い(表1)。
- 米粉を利用した、ライスパスタおよびクッキーの加工適性にすぐれ、食味官能評価も高い(表2、表3、図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- ライスパスタやクッキーに限らず、高アミロース性の特性を活かした新たな加工用途が拡がる可能性があり、新規需要の開拓に活用できる。
- 2012年度から、北海道旭川市での作付けとライスパスタ等の商品加工および販売が予定されているため、品種登録出願を行う。
- 耐倒伏性は強くないので、極端な多肥栽培は避ける。
- 穂いもち病抵抗性は十分ではないので、適正な防除に努める。
- 種子の入手および増殖に関しては、育成機関に問い合わせる必要がある。
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カテゴリ |
いもち病
加工
加工適性
寒地
酒造好適米
消費拡大
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
良食味
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