ケルセチンの肥満抑制作用および肝臓への脂肪蓄積抑制機構の解明

タイトル ケルセチンの肥満抑制作用および肝臓への脂肪蓄積抑制機構の解明
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究課題名
研究期間 2008~2011
研究担当者 小堀真珠子
大池秀明
発行年度 2011
要約 西洋型食飼料でマウスに誘導される肥満及びメタボリックシンドロームに関連する症状は、ケルセチンを同時摂取させることにより改善される。肝臓では組織中の脂肪蓄積が抑制される。また肝臓の脂肪蓄積に関連する遺伝子発現が改善される。
キーワード ケルセチン、肥満、メタボリックシンドローム、遺伝子発現解析
背景・ねらい 内臓脂肪蓄積による肥満は糖尿病や脂質異常症等の生活習慣病を引き起こす。肥満やメタボリックシンドロームの該当者数は多く、それらを予防する農産物、食品の探索や作用メカニズムの解明が求められている。そこで、マウスに高脂肪・高コレステロール・高糖食である西洋型食を摂取させた食餌性肥満モデルによる評価系を作成し、タマネギ等に含まれる機能性成分のケルセチンの有効性を解明する。また併せて、DNAマイクロアレイを用いた肝臓の網羅的な遺伝子発現解析等により、ケルセチンの作用機構を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 西洋型食をC57BL/6Jマウスに20週間摂取させると体重及び内臓脂肪が増加し、血糖値、血漿中のインスリン、総コレステロール、トリグリセリド濃度および遊離脂肪酸濃度が増加し、肥満および高血糖、脂質異常等のメタボリックシンドロームに関連する症状が誘導される(表1)。
  2. その西洋型食で誘導された肥満・メタボリックシンドロームに関連する指標の増加・上昇はケルセチンを同時に与えておくと全項目において正常方向に改善される(表1)。
  3. ケルセチンは西洋型食で誘導されるマウス肝臓の脂肪蓄積を抑制することが、組織画像でも観察される(図1)。
  4. DNAマイクロアレイによる肝臓の遺伝子発現解析により、ケルセチンが西洋型食で誘導または抑制される遺伝子発現に及ぼす影響は見いだされない。図2に示すように、RT-PCR法による肝臓の遺伝子発現解析により、ケルセチンは脂肪蓄積に関わるPPARγ(Pparg)及び脂肪酸合成に関わるSREBP1c(Srebpf1)の発現を抑制し、脂肪酸のβ酸化に関わるPPARα(Ppara)及び抗酸化酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼ1(Gpx1)の発現を誘導する(図2)。このことから、ケルセチンは脂肪蓄積および脂肪酸合成を抑制し、脂肪酸代謝を促進して西洋型食による肝臓への脂肪蓄積を抑制し、抗酸化酵素の発現を誘導して、酸化ストレスを抑制すると想定される。
成果の活用面・留意点
  1. 西洋型食はマウスに肥満及び高血糖、脂質異常等のメタボリックシンドロームに関連する症状を誘導することから、経口摂取それらの代謝調節機能性を有する農作物・食品成分の評価に活用することができる。
  2. DNAマイクロアレイによる遺伝子発現の網羅的な解析は機能性発現機構の解明に活用できるが、検出感度の低い遺伝子もあり、RT-PCR法等との併用が有効な場合もある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026539
カテゴリ 機能性 機能性成分 たまねぎ

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