放射性物質に汚染された農地土壌の効率的な除染工法

タイトル 放射性物質に汚染された農地土壌の効率的な除染工法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2011~2011
研究担当者 若杉晃介
原口暢朗
瑞慶村知佳
発行年度 2011
要約 放射性物質に汚染された農地の表層土壌の固化、油圧ショベルバケットのスイング運動による剥ぎ取り、剥ぎ取った汚染土壌の吸引・収集、から構成される除染工法は、従前の操作と比較して、少ない処理土量で高い除染率を実現しうる。
キーワード 放射性物質、除染、表土剥ぎ、土壌固化剤、油圧ショベル
背景・ねらい 東京電力福島第1原発の事故に伴い、広範囲にわたる地域が放射性物質により汚染され、土壌中の放射性物質濃度の高い農地では栽培が制限されている。これらの農地において放射性物質は、表層2~3cmに集積していることから、この土壌層の選択的な除去は、確実な除染効果が期待できる。一方、一般的な建設機械による従前の操作では、剥ぎ取り厚さの制御が困難であり、処理土量の増加や施工費の増大、取り残しの発生など、多くの問題が懸念されている。そこで、剥ぎ取り厚さを放射性物質の集積している表層2~3cm程度に制御し、かつ安全・確実に剥ぎ取る工法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 工程1:土壌固化剤を添加したスラリーを散布し、表層のみに浸透させることで汚染土壌を固化し、除染時の確実性、施工性、安全性の向上を図る(図1)。なお、使用する土壌固化剤は、栽培や環境への影響が少ないマグネシア系固化剤が好ましい。
  2. 工程1のメリット:1)降雨による汚染土壌の流出や風による飛散を防止、2)固化した汚染土壌は未固化の土壌と物性が異なるため、選択的な剥ぎ取りが可能で、取り残しも発生しにくい、3)マグネシア系固化剤使用時には、汚染土壌が白色にマーキングされ、目視による施工管理が容易、4)汚染土壌の粉塵巻き上げが起きにくく、施工時の安全が向上する。
  3. 工程2:地盤が軟弱で小さな凸凹が存在する水田において、厚さを2~3cm程度の汚染土壌の剥ぎ取りを実現するため、油圧ショベルの旋回機能を利用し、バケットを左右にスイングして表層土を剥離し、汚染土壌をスジ状に集積する(図2)。
  4. 工程2のメリット:1)油圧ショベル本体が停止したまま、バケットに接続したアームのみ作動させることにより、剥ぎ取り厚さが制御できる、2)複数関節のアームによって、地面の凹凸に応じた制御が可能、3)目視で剥ぎ取り厚さを確認しながら操作できるため、施工管理が容易で処理土量の増加や取りこぼしが回避できる、4)さらに、バケットのアームにバキュームの吸引ホースを接続する改良により、剥ぎ取りと同時にバキューム車のタンクに汚染土壌が吸引・収集され、安全性、確実性や施工性が向上する(図3)。
  5. 本工法では、従前の操作より51~80%の処理土量で同等な除染効果を達成できる(表1)。さらに、福島県飯舘村伊丹沢地区の水田(10a区画)において、剥ぎ取り厚3.0cm、処理土量32m3/10a、除染前後の放射性物質濃度の低減率82%の実績を有する(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:除染事業を行う国や県など事業主体および事業者
  2. 普及予定面積:最大で、放射性セシウム濃度が5,000Bq/kg以上の耕起されていない約8,300haの農地
  3. その他:環境省が実施中の「除染技術実証試験事業」において、約4haの施工実績。また、農水省が実施予定の「農地除染対策実証事業」の仕様に本工法の一部が採用。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026529
カテゴリ 除染技術 水田

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