地震・洪水に強く、人力主体で施工できる盛土の補強技術

タイトル 地震・洪水に強く、人力主体で施工できる盛土の補強技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2009~2011
研究担当者 松島健一
毛利栄征
堀 俊和
有吉 充
上野和広
発行年度 2011
要約 農村道路、堤防・水路護岸等の耐震対策や波浪侵食対策に有効な土嚢積層システムは、高度な施工技術や特殊な施工機械を要せず、人力主体で施工できる。高耐久性と法面の急勾配化が図れ、メンテナンス費用や建設用地を大幅に節約できる。
キーワード 土嚢、耐震対策、波浪侵食、盛土、人力施工
背景・ねらい 自然災害に脆弱な農村インフラの強化は、持続的農業の発展に不可欠であり、全世界的に解決しなければならない喫緊の課題となっている。基幹的なインフラ施設については、高度な施工技術や施工機械が導入され、高水準の構造物が建設されているが、農村地域では、高コストな整備技術を適用できない状況にある。そこで、本成果では、盛土法面の耐震・波浪侵食対策として人力主体で施工できる災害に強い盛土の補強技術を提示する。
成果の内容・特徴
  1. 本技術は、高度な施工技術や特殊な施工機械を要せず、人力主体の施工で、良く締固めた大型土嚢(長さ60cm以上)を盛土内側が低くなるように20°~30°に傾斜して法面に積み上げて盛土を補強するものである(図1)。背面土圧に対する抵抗力が高く、擁壁として十分な耐震性を確保できる特長を有する。また、災害時の応急復旧や、洪水害が深刻な東南アジアにおいて波浪侵食対策として活用できる。
  2. 土嚢袋は、ジオシンセティックスなどの合成樹脂製の袋のほかに、図2(a)のようなジュート袋を使用できる。ジュート袋は、穀物バックなどを流用できるため、安価で大量に入手可能である。なお、ジュート袋を用いる場合、中詰め材として、現地発生土や砂などを母材とするセメント固化処理土を使用する。ジュート袋は建設後に生分解されるが、セメント固化処理土の型枠として機能するので、良く固結した中詰め材を作成でき、高い耐久性を確保できる。
  3. 東南アジアにおける従来の波浪侵食対策工は、土を盛立てた後に法面部をモルタルバックやコンクリートパネル等で被覆するため、法面付近で締固め不足や吸い出しが生じやすい。これに対して、本技術は法面付近でも十分な締固めが可能になり、波浪に対する盛土の侵食、すべり、浸水沈下などの問題を改善し、品質を向上できる。
  4. 特に、盛土材の吸い出しに対しては、図2(b)のように1)土嚢間の隙間が水抜きのように機能するので、土嚢背面に残留水圧が発生しにくい。また、2)土嚢間の隙間の水抜き穴は、盛土背面側に傾斜しているため、盛土材が吸い出されにくくなっている。さらに、3)盛土内に設置したフィルター材は、波浪による盛土内の過剰間隙水圧の変動を抑制でき、盛土材の吸い出しを効果的に防止することができる。
  5. コンクリートパネル等による従来工法は、厳しい波浪条件では耐久性が低く、かつ、大幅な建設用地を要していたが、本技術は図4のように耐久性向上と法面の急勾配化を同時に実現でき、建設用地を約半分程度まで節約できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:国内外の行政機関、設計コンサルタント、土地改良区、農家等
  2. 普及予定地域・普及予定面積:波浪侵食・耐震対策が必要な盛土、堤防、水路護岸等
  3. その他:JICA、JIRCAS、設計コンサルタント会社、タイ国の国立大学から水路護岸や堤防等への適用方法について問合せが有り。設計・施工マニュアル(案)の利用可能。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026511
カテゴリ コスト

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