田んぼの生きもの調査データを用いた魚類生息場の推定マップの作成手法

タイトル 田んぼの生きもの調査データを用いた魚類生息場の推定マップの作成手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2009~2011
研究担当者 渡部恵司
竹村武士
森 淳
小出水規行
発行年度 2011
要約 「田んぼの生きもの調査」のデータを用いて土地利用や標高等の環境データから魚類の生息確率を推定する統計モデルを構築し、魚類生息場の推定マップを作成する手法である。
キーワード 水田水域、農業水路、生物多様性、利根川流域
背景・ねらい 田園環境整備マスタープランや農村環境計画、農業農村整備事業の環境配慮計画を策定・見直す際には、魚類などの生息状況の把握が不可欠である。しかし実際には、生息状況の悉皆調査は非現実的で、調査は一部の場所でしか行われていない。このため、一部の調査データから周辺における魚類の生息状況を予め推定することは、限られた予算で調査を行なう上で重要である。

田んぼの生きもの調査(2002~2009年度に農林水産省と環境省が連携実施)により、全国の農村地域の農業水路などで魚類調査データが蓄積されている。本成果は、「田んぼの生きもの調査3次メッシュデータ(魚類)」(以下、「調査データ」)と地図データから作成する環境データを用いて、魚類の生息確率を推定する統計モデルを構築し、未調査地域にも適用可能な魚類生息場の推定マップを作成する手法である。推定マップをもとに田園環境整備マスタープランの環境創造区域と環境配慮区域の分類、あるいは事業前に重点的な調査エリアのスクリーニングを行うことで、限られた予算で効率的な調査実施・計画策定が可能となる。
成果の内容・特徴
  1. 解析は、第3次地域区画(約1kmのメッシュ。以下「メッシュ」)単位で行う。
  2. 田んぼの生きもの調査の調査地点数は、メッシュによって異なる。そこで、統計モデルの構築には、平均的な調査地点数のメッシュ、もしくは調査地点数の偏りがないメッシュの調査データを用いる。また、メッシュ間で共通して確認される種(例えば、水田周辺に共存するドジョウとタモロコ)を、多次元尺度法とツインスパン法を用いてグループ化する(図1の1)~4))。
  3. 各メッシュの環境データは、基盤的な地図情報として取得できる土地利用、農地の整備状況および標高の地図データをもとに作成する(図1の5)~7))。
  4. 生息場の推定は魚類グループごとに行う。グループの生息確率を環境データから推定する統計モデルの構築には、ロジスティック回帰分析を用いる。統計モデルの外挿により、各グループの生息確率を環境データからメッシュごとに計算し、結果をマップに表示する(図1の8)~10))。
  5. 利根川流域での解析例を図2に示す。当流域において、田んぼの生きもの調査は2002~2007年(6年間)に322メッシュで行なわれている(図2左)。統計モデルの構築には、71メッシュ(メッシュ内での調査地点数4~6、確認種数27)を用いる。27種はグループA~Dに分類され、図2右のように推定マップが得られる。前述の322メッシュについて、実際の確認の有無と統計モデルから予測される確認の有無との正誤を比較すると、一致率は62~86%である(図2右)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農林水産省、都道府県の生物多様性保全施策の担当者など
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の水田地域。全国で本手法が適用できることを、北上川流域や木曽川流域など他流域での解析から検証済みである。
  3. その他:2009年度までの全国一斉の田んぼの生きもの調査データを活用して、効率的に今後の環境配慮・生物多様性保全に有用な資料を作成できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026499
カテゴリ 環境データ 水田

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