近年北海道で分離される牛由来Salmonella Typhimuriumの遺伝学的特徴

タイトル 近年北海道で分離される牛由来Salmonella Typhimuriumの遺伝学的特徴
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2008~2011
研究担当者 玉村雪乃
内田郁夫
田中 聖
秋庭正人
窪田宜之
秦 英司
菅野 徹
畠間真一
石原凉子
発行年度 2011
要約 北海道で分離された牛由来Salmonella Typhimuriumはパルスフィールドゲル電気泳動で型別するとⅠからⅨ型に分類され、Ⅶ型菌は2000年から出現して近年最も多く分離される。Ⅶ型菌の多くが多剤耐性を示し、薬剤耐性病原性プラスミドを保有する。
キーワード Salmonella Typhimurium、PFGE、MLVA、薬剤耐性病原性プラスミド
背景・ねらい Salmonella Typhimurium (ST) は、子牛や搾乳牛に敗血症や悪性下痢を引き起こし、酪農経営上大きな問題となる。流行株の特徴や感染源・感染経路等を迅速に把握することは、防疫対策を講じる上で急務である。本研究では、サルモネラの分子疫学的解析システムを構築するため、牛由来STを、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)により解析し、遺伝子型に基づくデータベースを作成する。これにより、遺伝子型の経年変化を解析し、近年流行しているSTの遺伝子型およびその特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 1977年から2009年に、北海道において分離された牛由来ST545株をPFGEで解析すると、116種類のプロファイルが検出され、Ⅰ~Ⅸ型に分類される。
  2. 多剤耐性ファージ型104(DT104)を含むⅠ型菌の分離は、成牛型サルモネラ症の顕在化した1992年ごろから増加し、2004年以降減少傾向にある(図1)。
  3. 2000年からⅦ型菌が出現して、2002年ごろから増加傾向を示し、近年最も多く分離されている(図1)。
  4. 各PFGEプロファイルを代表する116株についてmultiple-locus variable-number tandem-repeats analysis (MLVA)で解析すると、PFGEⅦ型菌では、薬剤感受性株を除く多剤耐性株の全株が1つのクラスター(D)を形成し(図2)、Ⅶ型菌はⅠ型菌と同様に、クローナリティーの高い多剤耐性菌であることが示唆される。
  5. Ⅶ型菌165株の多くが多剤耐性であり、このうち、98%がアンピシリン耐性で、16%がセファゾリン耐性を示す(表1)。
  6. Ⅶ型菌は78kbから130kbの血清型特異的病原性プラスミドを保有し、多くが薬剤耐性遺伝子(アンピシリン、テトラサイクリン、サルファー剤、ストレプトマイシン、カナマイシン耐性)を保持している。なお、セファゾリン耐性因子はプラスミド上にはなく、染色体上に存在することが示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. PFGE等による遺伝子型や薬剤耐性プロファイルに基づくデータベースは、新型菌出現の検出等を可能とし、流行型のモニタリングに活用できる。
  2. 近年分離が増加している多剤耐性Ⅶ型菌における遺伝学的特徴の一端が明らかとなり、今後特に、セフェム系抗生物質に対する耐性化に注意する必要がある。
  3. Ⅶ型菌のPFGEおよびMLVAプロファイルは、北米において、2000年から出現した新型の多剤耐性菌と類似しており、今後も拡散状況を継続的に監視する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026486
カテゴリ くり 経営管理 耐性菌 データベース 乳牛 モニタリング 薬剤 薬剤耐性

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