繰返し流行した哺乳豚下痢由来豚A群ロタウイルスは遺伝学的に多様である

タイトル 繰返し流行した哺乳豚下痢由来豚A群ロタウイルスは遺伝学的に多様である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2011~2011
研究担当者 宮崎綾子
久我和史
鈴木 亨
河本麻理子
勝田 賢
恒光 裕
発行年度 2011
要約 国内一養豚場で繰返し流行した哺乳豚下痢由来豚A群ロタウイルス(RVA)は遺伝学的に多様であり、この多様性は株の侵入に加え農場内株間での遺伝子再集合によっても獲得される。
キーワード 豚A群ロタウイルス、遺伝学的多様性、遺伝子再集合、哺乳豚下痢、流行
背景・ねらい 豚A群ロタウイルス(RVA)は哺乳豚下痢の主原因である。ウイルス外殻を構成する蛋白質VP7とVP4は、その抗原性の違いによりそれぞれGおよびP血清型(遺伝子型)を規定し、感染防御に重要な役割を果たしている。豚RVAでは少なくとも12のG遺伝子型と14のP遺伝子型が報告されている。近年、大規模農場でRVAによる哺乳豚下痢(RVA病)が流行する傾向が確認されているが、その発生要因の詳細は不明である。

本研究では、RVA病予防技術開発に資するため、一大規模養豚場において約一年間に4回流行した哺乳豚下痢の原因となったRVAについて分子疫学的解析を行い、発生要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 母豚4,000頭規模の一貫経営農場において、2009年2月から2010年3月にかけて泌乳中母豚の約30%で一腹の産子全頭が下痢を呈する流行性下痢(死亡率5%以下)が4回発生し、病性鑑定によりRVAが主原因と診断された。1回目と2回目の発生では発症豚の母豚産歴や発症日齢は様々であったが、3回目と4回目は主に7日齢以下の初産豚産子で発生している(表1)。
  2. 4回の発生で計5種類のGおよびP遺伝子型の組合せを持つRVAが検出され、下痢発生毎に異なる組合せが確認されることから、RVA病が繰返し発生した要因の一つはRVAの多様性にある(表2)。
  3. P[13]/[22]株を除いて同一のGまたはP遺伝子型に属する株のVP7またはVP4遺伝子は非常に近縁である一方(99.4%以上の塩基配列一致率)、GおよびP遺伝子型の組み合わせが異なる株が存在することは、RVAの遺伝学的多様性は外来株の侵入に加え農場内株間での遺伝子再集合によっても獲得されることを示している(図1および表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 農場内における豚RVAの遺伝学的多様性とその多様性獲得機構の一端が解明されたことは、ワクチンを含めた予防技術開発において有用な知見となる。
  2. 農場の規模拡大化が進む日本において、今後RVA病の流行が増加することが予想される。発生予防技術の開発に資するため、発生状況調査、国内浸潤株の把握、ならびに感染動態解明などの更なる調査を行う必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026480
カテゴリ 規模拡大 経営管理 発生要因分析 予防技術

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