クリ園における放射性セシウムの蓄積

タイトル クリ園における放射性セシウムの蓄積
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2011~2011
研究担当者 草塲新之助
齋藤寿広
尾上典之
阿部和博
安部 充
木方展治
発行年度 2011
要約 クリ樹では、原発事故発生時に存在していた2年枝とともに、新生器官であるイガ、葉で放射性セシウム濃度が高い傾向があり、ブルーベリーおよびリンゴと比べて新生器官での蓄積割合が高い。熟期の早晩による果実の濃度に明らかな差は認められない。
キーワード クリ、放射性セシウム、樹体内分布、園地内分布
背景・ねらい 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質のうち、半減期が長く広範囲に汚染が広がった放射性セシウムについて、果樹における果実への移行に関する調査を行う。クリは、土壌から果実への移行程度を表す係数(移行係数)が高いとの報告があることから、果実を含む樹体各部位および土壌等における事故発生年の放射性セシウム濃度を調査し、果樹における果実への移行・蓄積に関する基礎資料とする。
成果の内容・特徴
  1. クリ樹の放射性セシウム濃度は、原発事故発生時に存在していた2年枝や新生器官であるイガ、葉で高い傾向を示し、根は低い(表1)。
  2. 放射性セシウム濃度から算出した見かけの移行係数は、0.039~0.311であり、過去の文献値(0.68~1.4)より低い。見かけの移行係数は、【果実中の放射性物質濃度(Bq/新鮮重kg)/土壌の放射性物質濃度(Bq/乾土kg)】で算出されるが、当年枝よりも2年枝の放射性セシウム濃度が高かったことと、根の濃度が分析した部位のうちで最も低かったことから、事故発生当年は、樹体に直接付着した放射性物質の果実への移行が、見かけの移行係数に影響していると考えられる。事故発生当年に果実へ蓄積した放射性セシウムは、根が土壌から吸収したものより、樹体に直接付着し果実へ移行したものが多い可能性がある。
  3. 土壌中の放射性セシウム濃度は、地表面付近が高い。雑草等地表面有機物にも相当量が含まれている(表1)。
  4. 事故発生時に存在していた2年枝と事故後生育した新生器官の放射性セシウム濃度を比較すると、クリは、2年枝の濃度に対して新生器官の濃度がブルーベリー、リンゴより高い。クリでは、新生器官に移行しやすい可能性がある(表2)。
  5. 果実成熟期の早晩による樹体内分布割合に明らかな差は認められない(表1、表2)。
  6. 周辺の空間線量率が高い園では、果実の放射性セシウム濃度も高い傾向がある(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象 行政機関等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 国内の放射能汚染が懸念されるクリ栽培地域
  3. その他 国、および地方自治体より、クリにおける放射性セシウムの蓄積に関して問い合わせがある。福島県の調査により、モモ、ナシ、ブドウ等の落葉果樹では、2年枝、3年枝に比較して、1年枝の放射性セシウムの濃度の比が、クリよりも低いことが明らかにされている。このことから、クリにおいては、旧年枝から当年枝へ移行する放射性セシウムの量が、他の落葉果樹よりも高いと推定される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026394
カテゴリ くり 雑草 ぶどう ブルーベリー もも りんご

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