新種の白紋羽病菌Rosellinia compactaの性状と死滅温度

タイトル 新種の白紋羽病菌Rosellinia compactaの性状と死滅温度
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2008~2011
研究担当者 中村 仁
佐々木厚子
竹本周平
発行年度 2011
要約 新種の白紋羽病菌Rosellinia compactaは、日本で従来知られていた白紋羽病菌R. necatrixと形態が類似し、R. necatrixと同様に35℃で死滅する。
キーワード 白紋羽病菌、新種、病原性、死滅温度、温水処理
背景・ねらい ナシおよびリンゴの白紋羽病に対して、50℃温水を罹病樹周辺に点滴処理することで病原菌を殺菌して罹病樹を治療する技術(温水治療技術)が開発され、実用化に至っている。本法は日本で従来知られていた白紋羽病菌Rosellinia necatrixの死滅温度が他の糸状菌に比べて低いことを利用した治療技術であるが、最近見出した新種の白紋羽病菌R. compactaの死滅温度は明らかになっておらず、本治療技術の適用性については不明である。

そこで、新種の白紋羽病菌R. compactaの性状解明と合わせて、本菌の死滅温度を特定することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 茨城県の山林において枯死した広葉樹(植物名不明)上で見出された新種の白紋羽病菌Rosellinia compacta(図1)は、接種試験により木本植物のマルバカイドウ(リンゴ台木)や草本植物のキバナルピナスに病原性を示し、それらの病徴はR. necatrixによるものと酷似する(データ略)。
  2. R. compactaは、日本で従来知られていた白紋羽病菌であるR. necatrixと形態的に類似するが、子座(子のう殻を1個含む)と子のう胞子の大きさによって識別できる(表1)。
  3. R. compactaのポテトデキストロース寒天(PDA)培地上での生長温度範囲は5℃~32℃であり、35℃(4日)で死滅する(図2)。これらの性質はR. necatrixと同様であるが、PDA培地上での生長速度はR. necatrixより遅い(図2)。
  4. 培養したナシ枝片を温水に浸漬した場合のR. compactaの死滅条件は、35℃温水で3日、40℃温水では5時間である(表2)。これらの死滅条件はR. necatrixのものと同様である。
成果の活用面・留意点
  1. R. compactaの熱による死滅条件がR. necatrixと同様であることから、R. compactaによる白紋羽病が生産現場において発生した場合には、防除対策として温水治療技術を適用できると考えられる。
  2. 従来、R. necatrixの同定は菌糸の形態(隔壁近傍にある洋ナシ状の膨らみ、図1)によって行われることが多かったが、今後は、栽培植物に白紋羽病が発生した場合に適切な防除対策を講じるため、子座および子のう胞子の形態に基づく正確な同定が必要である。
  3. これまで白紋羽病とされてきたものの中にはR. compactaが病原であるものが含まれる可能性もあることから、今後、本菌の日本国内での分布や宿主範囲に関する詳細な調査が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026388
カテゴリ 台木 治療技術 防除 りんご

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