国内で初めて検出されたカンキツソローシスウイルス

タイトル 国内で初めて検出されたカンキツソローシスウイルス
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 伊藤隆男
古田高音
難波信行
発行年度 2011
要約 カンキツソローシス病の病原であるカンキツソローシスウイルス(CPsV)は国内のカンキツに存在する。遺伝子診断による調査にて、約200樹のうち「不知火」の2樹のみで陽性を確認したが、ソローシス病特有な樹皮の剥皮症状は確認できていない。
キーワード カンキツソローシスウイルス、ソローシス病、樹皮の剥皮、不知火
背景・ねらい カンキツソローシス病は、カンキツのウイルス病の中で最も古くから研究されてきたものであり、海外では、樹勢低下や果実収量等への悪影響をもたらす重要病害の一つとして認識されている(図A、B)。病原としてカンキツソローシスウイルス(CPsV)が知られ、スイートオレンジ、マンダリン、グレープフルーツ等の樹皮に剥皮症状やヤニの分泌を引き起こす。国内では、ソローシス病様症状は知られていたものの、これまでCPsVの存在は確認されていない。近年可能となった遺伝子診断を用いた調査の結果、国内のカンキツより初めてCPsVが発見されたので報告する。
成果の内容・特徴
  1. プライマーCPV1/CPV2(Barthe et al., 1998)を用いた遺伝子診断(RT-PCR)により、調査した国内のカンキツ約200樹のうち2樹の「不知火」から約600塩基の特異的増幅産物が得られ、これらの塩基配列はカリフォルニアのCPsV株と極めて高い相同性を有する。
  2. CPsV ELISA Kit(Agritest, Italy)を用いた血清診断により、2樹の「不知火」から明瞭な陽性反応が確認され、これらはCPsVの検定植物であるマダムビーナススイートオレンジへの接木接種やキノアへの汁液接種試験でもそれぞれCPsVの感染に特徴的な症状を示す(図C、D)。これらのことから、CPsVはすでに国内に存在している。
  3. CPsVを保毒する7年生と13年生の「不知火」は、ともに6種類のウイロイドが混合感染しているため樹勢は悪いものの、観察時においてはソローシス病に特有の樹皮の剥皮症状は確認できていない(図E)。ソローシス病における剥皮症状の発症には10~15年を要すると言われている上、いずれの樹も伐採されているため、今回見つかったCPsVの病原性は不明である。
  4. 調査した約200樹の中には、樹皮の剥皮症状を示すものも含まれているが、それらからCPsVは検出されない。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝子診断や血清診断は試験研究機関等におけるウイルス検定に役立つ。
  2. 国内で見出されたCPsVの病原性や国内の生産現場への影響は明らかでないが、接木伝染のみと考えられることから、母樹検疫を行うことで防除可能である。
  3. 国内におけるCPsVの分布は限定的であると考えられるが、潜在感染する品種も多いとされることから、今後、ウイルス分布を詳しく調査する必要がある。
  4. 海外からの古い導入品種で樹皮の剥皮症状が見られるものもあるが、剥皮症状の全てがCPsVと関係あるわけではなく、他の原因も知られているため留意する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026386
カテゴリ キノア グレープフルーツ 栽培技術 品種 ぶどう 防除 その他のかんきつ

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