ニホンナシから同定した新規レトロトランスポゾン

タイトル ニホンナシから同定した新規レトロトランスポゾン
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2008~2011
研究担当者 山本俊哉
金 會澤
寺上伸吾
西谷千佳子
山本雅史
松本 隆
松山知樹
発行年度 2011
要約 ニホンナシから単離した8種類の新規レトロトランスポゾンは、約9kbpのコピア型の遺伝子配列を持ち、構造的に2種類に大別できる。蛍光 in situ ハイブリダイゼーション解析から、数十のコピーが染色体に散在する。
キーワード ニホンナシ、コピア型、レトロトランスポゾン
背景・ねらい レトロトランスポゾンは、可動遺伝因子の一種であり、多くの真核生物組織のゲノム内に普遍的に存在する。トウモロコシではゲノムの80%、コムギではゲノムの90%を占めており、植物では核DNAの主要成分となっている。自分自身をRNAに複写した後、逆転写酵素によってDNAに複写されてから新たな場所に挿入することで転移する。

レトロトランスポゾンはゲノム中に散在し、コピー数が多く、また転移してゲノムに挿入された後に安定に保持されるので、ゲノムワイドなDNAマーカーを作成するための候補配列として着目されている。バラ科果樹ではこれまでリンゴで1例報告があるだけでニホンナシではほとんど情報がなかったため、新規レトロトランスポゾンを同定し全長の塩基配列を決定する。
成果の内容・特徴
  1. ニホンナシ品種「巾着」のBACライブラリから、8種類の新規レトロトランスポゾンPpcrt1-Ppcrt8を同定し塩基配列を決定した。いずれも末端に長い反復配列を有するLTR型で、遺伝子の並び順からコピア型である(図1)。全長は約9kbで、その配列中には塩基の挿入や置換などの変異が観察され、GAG配列(group-specific antigen)中の142アミノ酸の欠失の有無から2つのグループに大別される。
  2. 得られたニホンナシのレトロトランスポゾンは、遺伝子配列の相同性から、イネのRIRE1やコムギのBARE-1と近縁である。
  3. 蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization, FISH)(図2)とゲノミックサザン分析(データ省略)によるゲノム中のコピー数と存在位置の解析から、数十のレトロトランスポゾンが多くの染色体に散在する。
成果の活用面・留意点
  1. ニホンナシから同定した8種類のレトロトランスポゾンの塩基配列情報は、公的遺伝子データベースに登録済みである(アクセッション番号:AB550651-AB550658)。
  2. レトロトランスポゾンの塩基配列情報をもとに、ゲノムワイドなDNAマーカーを作成し、より高密度な連鎖地図作成に供することが可能である。
  3. レトロトランスポゾンの塩基配列情報をもとに、ナシ品種判別用のDNAマーカーを作成することが可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026384
カテゴリ DNAマーカー データベース とうもろこし ばら 品種 りんご

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