カンキツ台木の枝内水分通導性を利用した樹冠拡大能力の早期予測法

タイトル カンキツ台木の枝内水分通導性を利用した樹冠拡大能力の早期予測法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2005~2011
研究担当者 岩崎光徳
深町 浩
佐藤景子
根角博久
吉岡照高
発行年度 2011
要約 5か月齢の台木実生の枝内水分通導性は、その台木を用いたカンキツ樹の幹周と相関が高く、これにより台木として利用した場合の穂木品種の樹冠拡大程度を早期に予測することができる。
キーワード カンキツ、枝内水分通導性、台木、樹冠拡大、プレッシャーチャンバー
背景・ねらい 日本のカンキツ類の台木は、半わい性を示すカラタチが主に用いられている。しかし、穂木品種によっては、樹冠拡大が遅く生産性の低い場合や、樹勢が強いため結実性が悪く、低品質果が生産される場合がある。そのため、カラタチ台とは異なる樹冠拡大を示す台木の育成が望まれている。しかし、カンキツ台木に接ぎ木した樹の樹冠拡大の程度を判別するには、通常長期間(15年以上)を要し、その間多くの労働力と広大な圃場を必要とする(図1)。そこで、交雑種子の獲得後に5か月齢の実生の枝内水分通導性を用いて、台木として利用した場合の穂木品種の樹冠拡大程度を予測する技術の開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. 枝内水分通導性の測定には、播種後単幹に仕立てた5か月齢の台木実生を用いて、測定前日に十分量の灌水を行い、気温25℃の暗室に入れる。測定当日は気温25℃の室内で、枝径3.5mmの部位を水中で切り、その7cm上部で剪除する。この枝片を、プレッシャーチャンバーに設置する(図2)。
  2. プレッシャーチャンバーのチャンバー内に1mM CaCl2溶液を入れたフラスコを用意し、枝片の下部が溶液に浸漬するように設置する。加圧は0.3MPaとし、加圧後の30秒間は枝内の気泡を排出させる。その後、同圧で3分間、枝からの出液をろ紙に吸水させる。吸水後、ろ紙の重量変化から単位時間当たりの出液量を算出し、枝内水分通導性の値とする(図2)。
  3. 5か月齢の枝内水分通導性と台木として利用した7年生樹の幹周(樹冠拡大の指標の一つ)は、決定係数で0.633と相関が高い(図3)。よって、通常の樹冠拡大能力の判別に15年以上を必要とするところを、5か月で判別が可能となる
成果の活用面・留意点
  1. 枝内水分通導性の評価には、対照品種にカラタチや「スイングル」シトルメロ等を用いて、相対的な評価を行う。
  2. 本法を用いた実生の選抜後は、剪除した枝の下部を育成することで繁殖に必要な種子を獲得することができる。
  3. 枝内水分通導性試験の評価は、樹液流動が活発な8~9月に実施することが望ましい。
  4. 本成果の7年生の樹の評価には、穂木品種として「させぼ温州」を用いた。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026377
カテゴリ 台木 接ぎ木 播種 繁殖性改善 品種 その他のかんきつ

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