タイトル |
耐冷性、いもち病抵抗性に優れ、多収の水稲新品種「夢の舞」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
1998~2011 |
研究担当者 |
三浦清之
笹原英樹
重宗明子
長岡一朗
上原泰樹
後藤明俊
太田久稔
清水博之
小牧有三
大槻 寛
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発行年度 |
2011 |
要約 |
水稲「夢の舞」は寒冷地南部では早生に属し、多収で良食味である。耐冷性、いもち病抵抗性が強いため、中山間部の稲作の振興に資することが期待できる。
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キーワード |
イネ、耐冷性、多収、直播、低コスト、夢の舞
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背景・ねらい |
現在、主食用米の国内需要量は減少しているが、外食用の業務用米の需要は増加しており、特に、低価格の業務用米の需要が増加している。農業経営者の所得を確保しつつ、こうした需要に応えるには、多収で良食味の水稲品種が必要である。一方、中山間部では一戸の農家の経営規模が小さく、稲作農家の高齢化に伴い、離農が増加しつつある。こうした中山間部の稲作振興を図るためにも、早生で、耐冷性、いもち病抵抗性に優れる多収、良食味の品種が望まれている。
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成果の内容・特徴 |
- 「夢の舞」は、いもち病耐病性、耐冷性に優れた早生の良食味品種の育成を目標として、「東北160号(後の「こいむすび」)」と「収6084」の交配後代から育成された品種である。
- 出穂・成熟期は「ひとめぼれ」よりやや遅く、育成地では“早生の晩”に属する(表1)。
- 「ひとめぼれ」と比較して、稈長はやや短く、穂長は同程度で、穂数はやや少なく、草型は“中間型”である。耐倒伏性は「ひとめぼれ」より強い“強”で、収量性は、標肥栽培では「ひとめぼれ」と同程度であるが、多肥栽培では「ひとめぼれ」より多収である。湛水直播栽培における収量性及び苗立ち率は、「はえぬき」と同等であり、「あきたこまち」に比べて多収であるので、湛水直播栽培が可能である(表1、表2)。
- 玄米千粒重は約23gで、「ひとめぼれ」並である。玄米の外観品質は「ひとめぼれ」と同等で、“中の上”と判定される。食味は「ひとめぼれ」と同等で“上の下”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子はPiiと推定され、圃場抵抗性は、葉いもち、穂いもちともに“やや強”である。障害型耐冷性は“極強”、穂発芽性は“やや難”である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 島根県の山間部にある農業法人において10ha程度の作付けが計画されている。
- いもち病抵抗性、耐冷性に優れることから中山間部での栽培が可能である。
- 適応地域は「ひとめぼれ」等の熟期の作付が可能な東北中南部、北陸および関東以西である。
- 耐倒伏性は“強”であるが、極端な多肥栽培では倒伏のおそれがあり、タンパク質含有量の増加による食味低下を招くため、地力に合わせた適切な肥培管理を行う。
- 白葉枯病にやや弱いため、常発地での栽培には注意する。
- 縞葉枯病には“罹病性”であるため、常発地での栽培には注意する。
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カテゴリ |
いもち病
経営管理
縞葉枯病
新品種
直播栽培
水稲
多収良食味
中山間地域
抵抗性
抵抗性遺伝子
低コスト
肥培管理
品種
良食味
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