シャットネラの日周鉛直移動リズムは光環境に制御される

タイトル シャットネラの日周鉛直移動リズムは光環境に制御される
担当機関 (独)水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所
研究課題名
研究期間 2011~2011
研究担当者 紫加田知幸
山口峰生
松永 茂
発行年度 2012
要約 光学技術を駆使し、鞭毛藻類の日周鉛直移動を自動観測するシステムを開発した。本システム用いて、有害赤潮藻シャットネラ(Chattonella antiqua)が微弱な青色光を感知してリズムを制御していることを明らかにした。
背景・ねらい 近年、有害赤潮鞭毛藻シャットネラは西日本において大規模な赤潮を形成し続けており、甚大な漁業被害が報告されている。本種は日出前から上昇して表層に、日没前に沈降して底層に集積するという日周鉛直移動を行う。この能力により、鞭毛藻類は天候や透明度に左右されずに光合成に必要な光を獲得できるなど、他種との増殖競合上、大きなアドバンテージを有していると考えられている。さらに、赤潮による水産業への甚大な被害は鞭毛藻の日周鉛直移動を介した生物集積の結果であることも指摘されている。以上のことからシャットネラの赤潮発生過程において、日周鉛直移動は最も重要な生物現象である。そこで、独自に開発した日周鉛直移動自動観測システムを用いて、鉛直移動リズムに及ぼす環境条件、今回は光環境の影響について調べた。
成果の内容・特徴 蛍光灯、LED、大型スペクトログラフ(基礎生物学研究所)など各種光源を用いて、様々な光条件をシャットネラに与えて日周鉛直移動を観測した。その結果、シャットネラの日周鉛直移動リズムは、明暗周期と同調して変化し(図1)、「暗期の前半(後半)に波長360~480nm、強度0.03μmol m-2 s-1以上の光を2時間照射すれば、位相が後退(前進)する」ことが判明した(図2)。近い将来、この基礎情報に基づいて、現場でシャットネラ細胞に光を照射して日周鉛直移動を人為的に制御する、新しい赤潮制御技術の構築が期待される。
成果の活用面・留意点
  1. 水中集魚灯などを用いた光照射により、日周鉛直移動を人為的にコントロールし、細胞の表層集積や生簀への侵入を防ぐ等の赤潮制御技術を構築できる可能性がある。
  2. 自動観測システムを用いて、他の有害赤潮原因種についても検討し、各種の鉛直移動の特徴を整理し、赤潮モニタリング調査における採水の水深や時刻などサンプリングデザインを再考する基礎資料になりうる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026312
カテゴリ 光条件 モニタリング

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