マボヤ被嚢軟化症の原因は鞭毛虫である

タイトル マボヤ被嚢軟化症の原因は鞭毛虫である
担当機関 宮城県水産技術総合センター
研究課題名
研究期間 2007~2011
研究担当者 熊谷 明
須藤 篤志
伊藤 博
田邉 徹
研究協力者:釜石 隆
研究協力者:三輪 理
研究協力者:北村 真一
研究協力者:広瀬 裕一
発行年度 2011
要約 10数年前から毎年韓国のマボヤ養殖場では、外皮が柔らかくなって大量死する被嚢軟化症が発生し、大問題となっている。2007年以降日本でも同じ病気が発生し、被害が拡大している。これまで本病の原因は不明であったが、本研究により、ネオボド目の鞭毛虫を原因とする感染症であることが判明した。また、病理組織学的診断法やPCR法等の新たな診断法、防疫対策に不可欠な種卵の消毒法を開発した。
背景・ねらい 1995年頃から韓国のマボヤ養殖場において外皮(被嚢)の軟化を伴う大量死が毎年発生し、生産量は42千トンから4千トン程度まで激減した。このため、宮城県から大量の養殖マボヤが韓国に輸出されるようになり、種苗が不足した。宮城県は業界に対し、防疫的観点から韓国種苗を導入しないよう再三指導したが、一部の輸出業者によって導入される事態となり、その結果、2007年にこの海域において、養殖マボヤが韓国の病気と同じ症状で死亡した。本病の原因については、感染症か否かさえ不明であった。本研究では、原因究明を目的として、発生状況調査、病理組織観察、病原体の培養と感染実験等を行った。
成果の内容・特徴
  1. 症状と発生状況:健康なマボヤの被嚢は大変硬いが、発症個体のそれは軟化し薄くなる(図1)。
    2007年は苗導入地点のみでの発病であったが、2009年以降はほとんど全養殖海域で確認された(図2)。発病は水温に密接に関連しており、11~12月に発生した後、15℃前後の6~7月に最も病気が進行し、20℃を超える8月に終息した。
  2. 病原体:軟化した被嚢に特異的に観察される鞭毛虫を純培養することに成功し、培養した本虫で健康なマボヤを浸漬攻撃することにより、本病が再現された。そして、実験感染で軟化したマボヤの被嚢において本虫が確認されたことから、本虫が原因病原体であると確定された。本虫はネオボド目に属する未記載属であると考えられる(図3)。
  3. 診断:これまでは外観症状の観察と触診による診断のみであったが、被嚢を浸漬した海水中に生きた鞭毛虫を確認する診断法、被嚢切片の光顕観察により本虫を確認する病理学的診断法および本虫のベータチューブリンと18S rRNA遺伝子をターゲットにした2つのPCRによる診断法を開発した(図4)。
  4. 対策:卵消毒技術を開発し、得られた無病種苗を未発症漁場に普及するとともに、感染症対策(1.発症個体の除去と陸上処分、2.低密度飼育、3.未発症海域の隔離)を指導している。
成果の活用面・留意点 マボヤ養殖業者等に対する技術指導
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026213
カテゴリ 発生要因分析 輸出

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