太平洋クロマグロ稚魚の回遊経路の推定

タイトル 太平洋クロマグロ稚魚の回遊経路の推定
担当機関 (独)水産総合研究センター 国際水産資源研究所
研究課題名
研究期間 2011~2011
研究担当者 土井 航
阿部 寧
増島雅親
稲掛伝三
瀬川恭平
岡崎 誠
発行年度 2011
要約 5-6月に南西諸島周辺の産卵場で孵化したクロマグロ稚魚の回遊経路を解明するため、新型表中層トロール網を用いて採集調査を行ったところ、奄美大島~屋久島西の黒潮流軸付近で従来採集困難であった漁業加入直前の体長100~140mmの稚魚が高密度分布していることが示され、黒潮がクロマグロ稚魚の来遊経路として重要であることが明らかとなった。
背景・ねらい 5~6月に南西諸島周辺で産卵したクロマグロは、8月には体長20cm程に成長して土佐湾などの太平洋沿岸と五島沖・対馬周辺の東シナ海に出現し、曳き縄漁業で漁獲されるようになる。幼魚の来遊状況は年変動が大きく、曳き縄で漁獲された幼魚の多くは養殖用種苗として用いられるため、クロマグロ資源の適切な管理を実施する上で、幼魚の発生量及び来遊量を迅速かつ高精度に把握するための体制を構築することが必要である。一方、冬季の日本海南部のクロマグロ幼魚を対象とした漁業では、南西諸島生まれと日本海生まれの幼魚を混在して漁獲しているため、其々の産卵場別の来遊比率およびその要因となる海洋環境を明らかにし、産卵場別の資源貢献度を推定することが、資源評価の精度向上のために必要である。そのためには、孵化場から日本海及び太平洋岸の漁場に至るまでの稚魚の来遊経路を明らかにし、来遊比率に関連する海洋環境、および来遊量を推測するためにモニターすべき項目等を抽出することが必要である。本調査では、黒潮流軸付近で高速曳網が可能な新型表中層トロール網を導入することにより、これまで困難であった黒潮周辺での稚魚分布調査を実施し、黒潮と回遊経路との関連について検証を行った。
成果の内容・特徴
  1. .南西諸島周辺で新型表中層トロール網NBT-2P-SYを用いてクロマグロ稚魚の分布調査を実施した結果、これまで南西諸島産卵場付近では採集できなかった漁業加入直前の体長100~140mmの稚魚が、奄美大島~屋久島西の黒潮流軸付近に多く分布していることが示された。
  2. 高クロロフィル環境への指向性を導入したクロマグロ稚魚遊泳モデルでは、南西諸島の産卵場から黒潮に乗って土佐湾に来遊するとともに、一部は屋久島西で黒潮を横切って九州西方に向かう個体があることが過去のデータから予想されていたが、本調査により実際に稚魚が分布することが確認され、遊泳モデルによる予想結果が妥当であることが示された。
成果の活用面・留意点
  1. クロマグロ稚魚の回遊経路および海洋構造との関連が明らかになることにより、クロマグロ幼魚の発生量及び来遊量を迅速かつ高精度に把握するための体制を構築する基礎的資料となる。
  2. 調査船調査と遊泳モデルを連動させ、モデルによる予想を実証しつつ発展させることにより、クロマグロ来遊経路および海洋構造との関連を迅速かつ高精度で解明できることが期待される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026206
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