国際フェリーからの目視観測による対馬海峡の大型クラゲ分布

タイトル 国際フェリーからの目視観測による対馬海峡の大型クラゲ分布
担当機関 (独)水産総合研究センター 日本海区水産研究所
研究課題名
研究期間 2006~2011
研究担当者 井口直樹
北島 聡
井桁庸介
渡邊達郎
加藤 修
発行年度 2011
要約 対馬海峡の大型クラゲ出現状況を把握するため、同海峡を横断する国際フェリーからの目視観測を平成18~22年の6~11月に実施した。目視総数は観測年で大きく変化した。大型クラゲの分布密度は出現開始直後の7~8月に最大となり、その後急速に減少した後、10月に再び増加する傾向があること、及び釜山沖と対馬北東沖の2箇所で高密度に分布することが明らかとなった。
背景・ねらい 大型クラゲ(エチゼンクラゲ)は、近年日本海で夏~秋に大量出現し、漁業に大きな被害を与えている。これらクラゲは海流により黄海、東シナ海北部から対馬海峡を通り日本海へ輸送された個体であるため、日本海沿岸各地への大型クラゲの到達日を予測し、有効に対策を講じるためには、日本海への入口である対馬海峡の大型クラゲ分布を詳しく把握する必要がある。本研究では、大型クラゲ分布を広範囲、高頻度に調査するために、対馬海峡を横断する定期フェリーから目視観測を実施した。
成果の内容・特徴 目視観測は平成18~22年の夏から秋にかけて2週間毎(年8~12回)にフェリー「ニューかめりあ」から実施した(図1)。フェリーは釜山~博多間を時速約40kmで運行しており(図2)、2名の調査員が30分交代で海面20mの高さから目視し、舷側から15m幅を通過するクラゲを10分毎に集計した。GPSで位置情報を取得し、10分間に進んだ距離から10,000㎡当たりの分布密度を計算した。
大型クラゲの年間目視総数は20年の出現無しから21年の11,141個体まで大きく変化した(表1)。20年の出現無しは東シナ海北部での大型クラゲ分布が少なかったことに起因すると考えられる。18、19、21年では、夏に対馬海峡で初めて大型クラゲが確認された直後にその年の最大密度(1回の観測の平均分布密度2.0~16.7個体/10,000㎡)を示し、すぐに減少した後、10月頃に量的には少ないが再び増加する傾向が見られた(図2)。22年は夏のピークは見られず、秋に少量の個体(最大0.2個体/10,000㎡)が観察された。水平分布をみると、釜山沖及び対馬北東沖の2海域で密度が高かった(図3)。釜山沖の高密度域は、対馬海峡西水道における対馬暖流主流域に対応し、対馬暖流によって日本海へ輸送されている大型クラゲを捉えたものと考えられる。一方、対馬北東沖の高密度域は、対馬北東海域に分布する渦の影響を受けて滞留した大型クラゲを捉えたものと考えられる。
成果の活用面・留意点 得られた大型クラゲ分布データは日本海海況予測システム(JADE)での粒子輸送実験により大型クラゲの移動、到達日予測に現在利用されている。目視観測では海面から2~3m深までの大型クラゲしか確認できない点を解決するため、目視結果とそれ以深の大型クラゲ分布との関連を今後明らかにする必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026181
カテゴリ シカ GPS 輸送

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