粒形情報を簡便かつ迅速に抽出するソフトウエアの開発

タイトル 粒形情報を簡便かつ迅速に抽出するソフトウエアの開発
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間 2008~2012
研究担当者 七夕高也
柴谷多恵子
堀 清純
矢野昌裕
江花薫子
発行年度 2012
要約 粒形の形質情報を簡便かつ迅速に抽出することが可能なソフトウエア(SmartGrain)を開発した。従来手法に対する計測精度および作業効率の向上を確認し、粒形の僅かな差異を制御する遺伝子の単離に有効なことを証明した。
キーワード 表現型評価、画像解析、粒形
背景・ねらい 近年の塩基配列情報の充実や多型解析手法の飛躍的な進歩を受けて、作物ゲノム育種を実施するにあたってのDNA実験上の懸念はほぼ解消したと考えられる。一方で、明らかになった遺伝子型情報と結びつける表現型の評価手法については旧来手法からの進展は少なく、これがゲノム育種の普及を妨げる要因となっている。本研究では、情報処理技術や画像解析技術を活用して、農業生産における重要形質である穀粒形状(粒形)について高精度かつ多検体の評価が可能なソフトウエアの開発を行った。
成果の内容・特徴
  1. 粒形情報を簡便かつ迅速に抽出するソフトウエア「SmartGrain」を開発した。SmartGrainは粒の画像の取り込みに市販のフラットベッドスキャナやデジタルカメラで撮影した画像が利用可能で、かつ計測粒の数や配置方向にも制約を設けず、さらに多数の画像ファイルを格納したフォルダ内の解析作業を一度に行える。SmartGrainの利用により、既存の画像解析ソフトと比較して、画像の取り込みおよび解析処理にかかる作業が著しく軽減した(図1)。
  2. SmartGrainには、粒認識の過程で、粒に付着する芒(ぼう)や枝梗(しこう)および残渣を自動除去する機能を持たせた。画像内の全ての認識粒について面積、周囲長、扁平率、長径、短径、縦横比、長径短径交点、重心、長径短径交点・重心間距離を算出する(図2)と同時に、それらの平均値および分散を算出できる。解析結果は表計算ソフトで読み込み可能なCSVフォーマット形式で出力可能で、引き続いて行う統計解析やQTL解析で利用できる。
  3. SmartGrainの精度を検証するために、従来手法による評価作業が困難な日本の水稲品種「コシヒカリ」と「日本晴」の戻し交雑固定系統群(127系統)の籾を測定して、QTL解析を実施した。その結果、これまで報告のなかった第11染色体に、長径に関する有意なQTLが見いだされ、同組み合わせの染色体断片置換系統群の評価により、候補遺伝子の物理位置を絞り込むことができた(図3)。
  4. SmartGrainをシロイヌナズナ、ダイズ、アワ、エノコログサの粒にも適用し、同様の手法で画像を取り込み、同様のパラメーターが得られることを確認した。
成果の活用面・留意点
  1. 開発したソフトウエア SmartGrain (http://www.nias.affrc.go.jp/qtl/SmartGrain/よりダウンロード、無償にて利用可能)はWindowsプラットフォームで稼働する。
  2. 粒形の遺伝解析において最大の問題であった形質評価の手間について、市販の機器を用いた高速化と多検体化を可能にしたことから、粒の微細な変異に関わる遺伝子の単離同定研究が進展する。
  3. 粒(籾)と背景を識別する色を画像ごとに指定可能なため、粒形のみならず、籾の病斑認識を通じて病害抵抗性の評価ツールとしての応用も可能である。
  4. 遺伝研究のみならず、遺伝資源の評価、品種改良の現場において個体選抜によって得られた系統の評価や施肥量などの栽培条件の違いによる粒形変化など、粒形測定を必要とする全てのニーズに適用できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026139
カテゴリ あわ 遺伝資源 ゲノム育種 栽培条件 水稲 施肥 大豆 品種 品種改良 病害抵抗性

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